下記のメルマガを配信致しました。↓
学問としての順番では1月のメルマガでご紹介させて頂いたダイナミックタッチよりアクティブタッチのお話を先にすべきだったのですが、私の取り組んだ順番通り、という意味においてアクティブタッチに関して今月はご紹介致します。
私が昨年12月頃からトライし始めたバーベルの挙げ方における新しい挑戦をするために、まずバーベルの長さを身体図式に完全に取り込む必要が出てきました。そのために生態心理学の生みの親であるジェームス・ギブソンのダイナミックタッチ理論を練習に取り入れました。
先月の振り返りも兼ねてダイナミックタッチを簡単にご紹介しますと、人間は棒状の物を振ると慣性モーメントから長さをある程度知覚できるシステムを備えています。目を閉じていてもペンを振ると長さがわかりますよね。だから私はバーベルを振り始めました。
次にバーベルの形をもっと身体図式に正確に取り込むために始めたのがアクティブタッチです。アクティブタッチは日本語にすると「能動的触知覚」になります。ギブソンが唱えた5つの知覚のための身体組織の内の一つ「接触システム」のカテゴリーの中にアクティブタッチがあり、その中の一つの方法とでもいいましょうか、そこにダイナミックタッチがあると個人的には理解しています。
アクティブタッチ=能動的触知覚というようにアクティブタッチは対象物を意識的に触ります。
「認知の源は能動性である。受動的な外的刺激のみでは、神経系の可塑的な変化は起こらない。」身体運動学(樋口貴広/森岡周著)
と書かれているように脳に新しい変化を起こすには能動的な取り組みが必要ということです。受動的に、ぼーっと人の話を聞いていても何も頭に残らないですよね。正にそういうことです。
で、私は何をしているかと言いますと、セット間のインターバル中にバーベルのスリーブ部分(プレートをはめる外側のパーツ)の端を触ったり、回転させたりしています。こんな所は今までたくさん触ったことはなかったので新しい発見がたくさんありました。そして実際にバーベルの形状を身体図式にしっかり取り込み始めているので狙いとしては正にビンゴ!という状態です。
例1.先端を手のいろいろなところで触り形状を知覚する。
例2.スリーブ部分を回転させて動きを知覚する。この探索はプレートをつけていく度に実施することで回転がどう変わるかも知覚する。
小さい頃からスポーツを習ってきた人なら道具を自分でしっかり洗うようにと言われてきたかもしれません。自分が使用する道具を隅々まで洗うという行為は触知覚を刺激するのでとても良い行為だったんだろうなと今振り返ると思います。
ただ子供の頃は「この道具の隅々まで理解するために洗いながら触りまくろう!」というような能動的な試みではないでしょう。それでも道具を洗う=触る、という行為はスポーツがうまくなるために必要な行為の一つと言えるのかもしれません。
人間の身体って本当に面白いですね!
来月もよろしくお願い致します!
阿久津貴史