超一流と一流。その違いはどこにあるのか?
自己調整スキルと「省察」から考える
先日ニュースで卓球の男子世界ランキング1位の松島輝空選手の取材を放送していたのでついつい見入ってしまいました。
中でも印象深かったのが松島選手の子供時代に書いていた練習ノート。
イラストまで丁寧に描き、その日の練習を鮮明に振り返っている内容には驚きました。
そこでまたふと以前のメルマガでも取り上げた超一流と一流を隔てているのものは何なのか?という興味が再燃し面白い論文をみつけました。
2010年に学術誌 Journal of Sports Sciences に掲載された、Jonkerらによる研究です。
この研究では、国際レベルと国内レベルのアスリートでは、自己調整スキルにどのような違いがあるのかを調べています。
自己調整とは、特定の課題を習得し、向上するために、自分自身の学習を管理・調整することとされています。
対象となったのは、オランダの21校に在籍する12〜16歳の才能あるアスリート222名。ジュニア国際レベルの78名とジュニア国内レベルの144名を比較しました。
研究では、自己調整スキルを次の6項目に分け、質問紙を用いて評価しています。
- Planning(計画)
- Self-monitoring(自己モニタリング)
- Effort(努力)
- Self-efficacy(自己効力感)
- Evaluation(評価)
- Reflection(省察)
さて、国際レベルと国内レベルの選手では、どのスキルに違いがあったと思いますか?
興味深いことに、統計的に有意な差が認められたのは、たった1つ。それが「Reflection(省察)」でした。
国際レベルの選手は、国内レベルの選手よりも省察の得点が高かったのです。
では、省察とは何でしょうか?「内省」や「振り返り」と表現されることもあると思います。
この研究では、省察を学んだことを吟味し、自分自身を向上させるために、過去の知識や経験を応用できる程度として捉えています。
単に練習を振り返るだけではなく、そこで得た経験を、次の改善にどう生かすか。その振り返りの解像度や、そこに費やす時間等に違いがあるのかもしれません(なお、本研究ではReflectionの評価に先行研究から5項目を採用していますが、具体的な質問項目は明記されていません)。
もちろん、アスリートのパフォーマンスはさまざまな要因によって構成されており、自己調整スキルもその一つにすぎません。その中の一要素である省察だけが、超一流と一流を隔てているわけではないことは想像できます。 それでもなおこういった日々の目に見えない行動の差がやがて大きな差となりそうなこともまた想像できます。
REFERENCE
Jonker, L., Elferink-Gemser, M. T., & Visscher, C. (2010). Differences in self-regulatory skills among talented athletes: The significance of competitive level and type of sport. Journal of Sports Sciences, 28(8), 901–908.