「その時は何も考えてなかったですね。」
トップ選手からよく耳にするこの言葉。
注意をどう扱うか?
という分野からも一つヒントを得られるかもしれません。
運動学習の研究では、「何に注意を向けるか?」ということがパフォーマンスに大きく影響することが繰り返し示されています。
注意を向ける対象は大きく2つに分けられます。
・体の動きに意識を向ける
・動作の結果や環境に意識を向ける
前者を内的焦点(Internal Focus of Attention)、後者を外的焦点(External Focus of Attention)と言います。
具体的にはスクワットをする際に
「臀部を使う」「腹圧をかける」というような身体部位の操作に注意を向けることが内的焦点。
「床を押す」「バーベルを元の位置に戻す」といった外部環境や結果に注意を向けることが外的焦点となります。
特にウエイトトレーニングでは正確な動作獲得のために身体部位に注意を向ける文化が根強いですが、スポーツ動作においては全体的には外的焦点化の方がパフォーマンスに寄与するという結果が出ています。
ヒトの身体はとてもよくできています。
本来、動きは無意識に最適化されるようにできています。
体の動きに注意を向けるとそれが余計な介入となり動きを崩す原因となります。
例えば,垂直跳びをして壁のマークに触れる課題があったとします。
大腿部の筋肉の使い方や腕の伸ばし方を意識するよりも、単純にマークの位置を確認して飛ぶ方が簡単に触れることができそうなのはイメージできると思います。もしマークの位置がより高くなったら身体は自然とより出力の高い動きを引き出します。
本番でプレッシャーがかかった際に特定の身体部位に注意を向けてしまうと、協調的に全身が動くように自動化されていた本来のシステムにノイズが生じます。
「パフォーマンスを最大化するために注意をどう扱うか?」
この問いに対する一つのヒントは、
注意を
“分散させる”のではなく、
“適切に焦点化する”
ことにあるのかもしれません。
注意が一つの対象に自然と向いている状態では、
余計な思考への注意や身体への介入が減り、動きはより自動化されます。
いわゆる「フロー状態」と呼ばれるような状態も、
こうした注意の在り方とリンクしてくるのではないでしょうか。
ヒトのパフォーマンスを最大化するために把握しておきたい分野だと個人的にも考えています。
目標設定をどこにおくか?(注意をどこに向けるか?)という考え方にも繋がりそうですね。
詳しい情報はブログをご覧ください。
▶︎ 外的焦点化がパフォーマンスを変える ー 体を意識せず、結果を意識する
阿久津貴史