「集中力が続かない原因はカフェイン依存?脳科学が明かす7つの解決策

「午後2時を過ぎると、頭が働かなくなる」「コーヒーを飲んでも効果は2時間しか続かない」「大事な会議の最後には、もう集中力がゼロになっている」──。

もしこんな悩みを抱えているなら、それはあなたの能力不足ではありません。実は、多くの人が「カフェイン依存の罠」にはまっているだけなのです。脳科学の最新研究が、その真実と抜け出す方法を明らかにしています。

この記事では、なぜ集中力が続かないのか、その科学的な理由と、カフェインに頼らずに1日中集中力を維持する7つの方法をご紹介します。

著者プロフィール
著者紹介
株式会社ピークパフォーマンスニュートリション(PPN)
代表取締役 阿久津貴史 (公式HP)

元パワーリフティング選手(2023年11月の世界選手権を最後に引退)
2010年~2023年105kg級日本代表(2021~2023年団長)
2012~2023年全日本選手権12連覇
パワーリフティングジム TXP代表
NSCA-CPT(2001年取得)
NSCAストレングス&コンディショニングスペシャリスト(2004年取得)
公認スポーツメンタルコーチ



現在プライベートでは東京都立大学大学院人間健康科学研究科において認知運動制御研究の第一人者の樋口貴広教授の元で研究生活を送っている。

集中力が続かない3つの神経科学的メカニズム

「なぜ集中力が続かないのか?」──この疑問に対して、脳科学は明確な答えを持っています。問題は、あなたの性格でも、努力不足でもありません。脳の3つの生理的な限界が、集中力を途切れさせているのです。

メカニズム1: ドーパミン枯渇と報酬系の疲弊

あなたが「やる気」を感じている時、脳内ではドーパミンという神経伝達物質が活発に働いています。ドーパミンは「報酬系」と呼ばれるシステムを動かし、「これをやると良いことがある」と脳に教えてくれます。

集中力を維持するには、このドーパミンが一定量必要です。しかし、長時間同じ作業を続けると、ドーパミンは枯渇していきます。Chen et al. (2025)による画期的な研究により、脳は高い認知負荷がかかるとドーパミン受容体をD2型からD1型へと巧みに切り替えながら集中力を保っていることが判明しましたが、この精巧なシステムも長時間の使用によってドーパミンそのものが枯渇すると機能不全に陥ります。

特に重要なのは、線条体と呼ばれる脳領域でのドーパミン動態です。この領域はワーキングメモリ(作業記憶)の維持に深く関わっており、難しいタスクに2時間集中すると、ドーパミン濃度が著しく低下することが脳画像研究で確認されています。ドーパミンが枯渇すると、脳は「報酬のない退屈な作業」だと判断し、集中力を維持する意欲を失います。「やらなきゃいけないのに、どうしても集中できない」という状態は、まさにこれです。

さらに、Unsal & Şanlıer (2025)の包括的レビューでは、慢性的なストレスや睡眠不足がドーパミンシステムの機能を低下させ、長期的な集中力障害につながることが示されています。つまり、日々の生活習慣が、ドーパミン枯渇のしやすさを決定しているのです。

あなたのドーパミンは枯渇していませんか?
・同じ作業を2時間以上続けると、急激に集中力が低下する
・「やらなきゃ」と思っているのに、手が動かない
・ついスマホやSNSを見てしまう(即座の報酬を求める脳の反応)
・意思決定に時間がかかり、優柔不断になる
・以前は楽しかった趣味にも興味が湧かない

これらは全て、脳の報酬系が疲れているサインです。Laurisa et al. (2024)の研究プロトコルでは、精神疲労とドーパミンをはじめとする神経伝達物質の相互作用が詳細に検討されており、ドーパミンシステムの疲労が集中力低下の主要因であることが確認されています。

メカニズム2: グルコース不足による脳のエネルギー切れ

脳は驚くほどエネルギーを消費する臓器です。体重のわずか2%しかないのに、全身のエネルギーの約20%を使っています。そして、脳が使えるエネルギーは基本的にグルコース(ブドウ糖)だけです。筋肉は脂肪も使えますが、脳はほぼグルコース専用なのです。

血糖値が急激に上下すると、脳へのエネルギー供給が不安定になります。特に問題なのが「昼食後の血糖値スパイク」です。ご飯やパン、麺類など炭水化物中心の昼食を食べると、血糖値が急上昇します。するとインスリンが大量に分泌され、今度は血糖値が急降下。午後2〜3時頃に襲ってくる強烈な眠気と集中力の低下は、このメカニズムによるものです。

Grout et al. (2023)の臨床試験では、血糖値を緩やかに上昇させる低GI食を摂取したグループは、高GI食グループと比較して、食後3〜4時間の認知パフォーマンスが有意に優れていることが示されました。さらに、Marchand et al. (2020)の研究では、低GI食摂取後、反応時間が約9%改善し、記憶テストの正答率が12%向上したことが報告されています。

より深刻なのは、血糖値の長期的な変動です。Ding et al. (2023)は、2型糖尿病患者において長期的な血糖値変動と認知機能の関連を調査し、血糖値が不安定な人ほど記憶力と実行機能(計画を立てて実行する能力)が低下していることを発見しました。血糖値の乱高下は、脳内の炎症反応を引き起こし、神経伝達物質のバランスを崩すのです。

📊 血糖値と集中力の科学的根拠
Drozdowska et al. (2021)の小児を対象とした研究では、低GI昼食を食べた子供たちは、高GI昼食を食べた子供たちと比較して、食後3.5時間の時点で注意力テストのスコアが有意に高いことが示されました。これは大人にも当てはまります。血糖値を安定させることは、午後の集中力を維持する最も確実な方法の一つなのです。

メカニズム3: 前頭前野の認知疲労

あなたの脳の前方部分、額の裏側にある前頭前野は、集中力の司令塔です。ここが「今はこれに集中しよう」「この雑念は無視しよう」「この誘惑には負けないぞ」と指令を出しています。この能力を神経科学では「抑制制御(inhibitory control)」と呼びます。

しかし、前頭前野も筋肉と同じように、使い続ければ疲労します。Steward et al. (2025)の最新研究では、認知疲労が前頭前野の活動を低下させ、「努力を要する選択」を避けるようになることが脳画像で確認されています。長時間の集中作業は、前頭前野に乳酸などの代謝産物を蓄積させ、エネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)を枯渇させます。

すると、「不要な情報を無視する能力」が著しく低下します。その結果、スマホの通知、同僚の会話、窓の外の景色など、些細なことで気が散るようになります。「朝は集中できたのに、午後になると些細なことで気が散る」という経験は、まさに前頭前野の疲労によるものなのです。

興味深いことに、Li et al. (2025)の脳画像研究では、睡眠不足の後に30分の昼寝をすると、前頭前野の活動が完全に回復し、抑制制御機能が元に戻ることが確認されています。つまり、前頭前野の疲労は回復可能であり、適切な休息によって集中力を取り戻せるのです。

集中力が続かない3つの原因(まとめ)

  • ドーパミン枯渇: 脳の報酬系が疲れ、受容体の切り替え機能も限界を迎える。約2時間で「やる気」が持続しなくなる(Chen et al., 2025)
  • グルコース不足: 血糖値の乱高下で脳がエネルギー切れを起こし、注意力が低下、ミスが増加(Grout et al., 2023)
  • 前頭前野疲労: 集中力の司令塔がATP枯渇により疲労し、雑念を無視する能力が低下(Steward et al., 2025)

カフェインの罠:なぜ「続かない」のか

集中力が切れそうになると、多くの人がコーヒーに手を伸ばします。確かにカフェインには即効性があります。しかし、カフェインは「集中力が続かない」問題の根本的な解決にはなりません。それどころか、長期的には問題を悪化させる可能性があります。

カフェインの作用メカニズム:疲労シグナルの隠蔽

カフェインは、脳内の「疲労シグナル」をブロックする物質です。脳が疲れると、「アデノシン」という神経伝達物質が蓄積します。アデノシンが脳内の受容体に結合すると、「そろそろ休もう」というシグナルが発生します。カフェインは、このアデノシン受容体に先回りして結合し、疲労シグナルをブロックするのです。

つまり、カフェインは疲労を感じさせなくしているだけで、疲労そのものを解消しているわけではありません。火災報知器の電池を抜いても、火事が消えないのと同じ理屈です。Biomolecules (2023)の包括的レビューでは、慢性的なカフェイン摂取が脳のシナプス機能、代謝、アデノシン調節にどのような影響を与えるかが詳細に検討されており、長期的には脳の自然な疲労回復メカニズムを阻害する可能性が指摘されています。

耐性形成と効果の減弱

カフェインを毎日摂取していると、脳は「またカフェインが来たぞ」と学習し、アデノシン受容体の数を増やします(アップレギュレーション)。すると、同じ量のカフェインでは効果が薄れ、もっと多くのカフェインが必要になります。これが「耐性」です。

さらに深刻なのは、Lin et al. (2023)の研究で明らかになった事実です。この研究では、睡眠不足の状態でカフェインを常用すると、脳の灰白質(神経細胞が密集する部分)の回復反応がアデノシンA1受容体を介して抑制されることが示されました。つまり、カフェインは一時的な覚醒をもたらしますが、長期的には脳の回復力そのものを低下させる可能性があるのです。

クラッシュ(急降下)のメカニズム

カフェインの血中濃度の半減期は4〜6時間です。午前10時にコーヒーを飲んだら、午後2〜4時頃には効果が急速に薄れます。この時、ブロックされていた疲労シグナルが一気に解放されます。「カフェインクラッシュ」と呼ばれる、強烈な眠気と集中力低下に襲われるのはこのためです。

さらに問題なのは、このクラッシュを避けるためにさらにカフェインを摂取すると、夕方以降も体内にカフェインが残り、夜の睡眠の質を低下させることです。睡眠不足が翌日の集中力低下を招き、さらなるカフェイン摂取につながる──この悪循環が、「集中力が続かない」問題を慢性化させているのです。

カフェイン依存の悪循環
① 朝のコーヒーで一時的に覚醒 → ② 午後にクラッシュ(効果切れ) → ③ さらにコーヒーを飲む → ④ 夕方まで体内に残る → ⑤ 夜の睡眠の質が低下 → ⑥ 翌朝また疲れている → ① に戻る

Unsal & Şanlıer (2025)の包括的レビューでは、1日400mg以上(コーヒー約4杯)のカフェインを慢性的に摂取している人は、不安症状の悪化とストレス反応の増加が見られることが報告されています。カフェインに頼るほど、かえって集中力が続かなくなる──この悪循環から抜け出す必要があります。

睡眠への悪影響とデフォルトモードネットワーク

午後以降にカフェインを摂取すると、就寝時にも体内に残っています。その結果、寝つきが悪くなり、深い睡眠が減少し、睡眠の質が低下します。

Tagliazucchi et al. (2013)の研究では、深い睡眠中、脳は「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる特殊なネットワークの活動パターンを変化させ、真の意味で回復することが示されています。カフェインがこの深い睡眠を妨げると、翌日の脳はスッキリせず、さらなるカフェイン摂取を必要とします。

睡眠不足が集中力低下を招き、カフェイン摂取が睡眠を妨げる──この悪循環が、「集中力が続かない」問題を慢性化させているのです。

持続的集中を実現する7つの科学的戦略

では、どうすればカフェインに頼らず、1日中集中力を維持できるのでしょうか? ここからは、最新の脳科学研究に基づいた具体的な方法をご紹介します。

戦略1: カフェインフリーのヌートロピックサプリメント

「カフェインなしで集中力を高める」──実は、これは十分に可能です。近年、カフェインとは全く異なるメカニズムで脳を活性化する成分が次々と発見されています。

Zynamite®:「刺激なき覚醒」を実現する成分

スペインの研究機関が開発したZynamite®(マンゴー葉エキス)は、カフェインのような刺激作用がないのに、持続的な集中力向上をもたらす画期的な成分です。

Castellote-Caballero et al. (2025)の最新臨床試験では、Zynamite® S(可溶性タイプ)を単回摂取した参加者は、反応速度が約9%向上し、気分スコアが15%改善しました。重要なのは、心拍数や血圧への影響が全くなかった点です。カフェインのような「ドキドキ感」や「ジッター(手の震え)」がなく、自然な覚醒状態が得られるのです。

Wightman et al. (2020)の別の研究では、Zynamite®摂取後、視覚情報の処理速度が11%向上し、主観的な精神疲労感が26%軽減したことが報告されています。そして、効果は6時間持続し、カフェインのようなクラッシュは観察されませんでした。

Zynamite®の主成分であるマンギフェリンは、酸化ストレスを軽減し、神経炎症を抑え、記憶に重要な神経伝達物質「アセチルコリン」の分解を防ぎます。Lum et al. (2020)の系統的レビューでは、複数の動物実験とヒト臨床試験により、マンギフェリンの記憶力保護効果が確認されています。

Neumentix®:90日で集中力が11%向上

米国で開発されたNeumentix®は、特別に品種改良されたスペアミント(Spearmint)から抽出される成分です。通常のスペアミントの数倍のロスマリン酸と、50種類以上のポリフェノールを含んでいます。

142名を対象とした90日間の臨床試験(Neumentix社データ)では、Neumentix® 900mgを毎日摂取したグループは、持続的注意力が11%向上しました。効果は30日後から現れ始め、90日間継続しました。これは一時的な覚醒ではなく、脳機能そのものが向上したことを意味します。

Neumentix®の作用は4つあります:

  1. 酸化ストレスの軽減: 脳細胞を傷つける活性酸素を除去
  2. アセチルコリンの増加: 学習と記憶の神経伝達物質を増やす
  3. 神経新生の促進: 新しい神経細胞の生成を助ける
  4. 神経保護: 既存の神経細胞を保護し、老化を遅らせる

カフェインが「一時的な覚醒」をもたらすのに対し、Neumentix®は「長期的な脳機能の向上」を実現します。

Suntheanin®:リラックスした集中状態

緑茶に含まれるL-テアニンは、不思議な効果を持つアミノ酸です。脳波測定により、摂取後30〜60分で「α波(アルファ波)」が増加することが多くの研究で確認されています。

α波とは、リラックスしているけれど覚醒している状態の脳波です。瞑想の達人や、一流アスリートが最高のパフォーマンスを発揮する時の脳の状態です。カフェインは「緊張した覚醒(β波優位)」をもたらします。一方、L-テアニンは「リラックスした集中(α波優位)」を実現します。この違いが、持続性を生み出すのです。

Suntheanin®は、太陽化学が開発した高純度L-テアニンで、多くの臨床試験でその効果が検証されています。興味深いのは、L-テアニンがカフェインと併用すると、カフェインの刺激作用を和らげつつ、認知機能向上効果を増強することです。

複合的アプローチ:111'NEURO DRIVE®

PPNが開発した111'NEURO DRIVE®は、上記3成分に加え、α-GPC、LIPAMIN PS™、DHA/EPA、ホワイトクルクミノイド®、イチョウ葉エキス、ムクナ抽出物の計9種類の成分を配合した、カフェインフリーの認知機能サプリメントです。

111'NEURO DRIVE

カフェインに頼らない持続的集中力

111'NEURO DRIVE®は、「集中力が続かない」という悩みを根本から解決するために開発されました。カフェインのような一時的な覚醒ではなく、脳の神経伝達物質の材料を供給し、脳内環境を最適化することで、持続的で安定した集中状態を実現します。

9種類の科学的根拠ある成分

  • Zynamite®: 反応速度9%向上、精神疲労26%軽減。カフェインのような刺激なし(Wightman et al., 2020)
  • Neumentix®: 90日で持続的注意力11%向上。脳の長期的な機能改善
  • Suntheanin®(L-テアニン): α波を増やし、リラックスした集中状態を実現
  • α-GPC: 記憶の神経伝達物質「アセチルコリン」の最も効率的な材料
  • LIPAMIN PS™: 脳細胞膜をサポートし、情報伝達をスムーズに
  • DHA/EPA: 脳の成長因子BDNFを増やし、脳の炎症を抑える
  • ホワイトクルクミノイド®: 脳内の炎症を抑え、クリアな思考をサポート
  • イチョウ葉エキス: 脳への血流を改善し、酸素と栄養の供給を促進
  • ムクナ抽出物(L-DOPA): やる気の源「ドーパミン」の材料を供給

BSCG認証取得済み - 全ロットでドーピング検査を実施。アスリートも安心してご使用いただけます。ビジネスの重要会議、資格試験の勉強、そしてスポーツの試合前。ここぞという時の集中力はもちろん、日々の「集中力が続かない」悩みを解決します。

戦略2: 血糖値の安定化とグルコース管理

脳のエネルギー源であるグルコースを安定供給するには、血糖値の急激な変動を避けることが重要です。前述のGrout et al. (2023)Marchand et al. (2020)の研究が示すように、食事の選び方一つで午後の集中力が天と地ほど変わります。

低GI食品を選ぶ

GI値とは「血糖値の上がりやすさ」を示す指標です。低GI食品は血糖値を緩やかに上昇させ、脳に安定したエネルギーを供給し続けます。

  • 低GI食品(おすすめ): 玄米、全粒粉パン、オートミール、豆類、ナッツ類、ほとんどの野菜、リンゴ、ベリー類
  • 高GI食品(避けるべき): 白米、白パン、うどん、砂糖入り飲料、菓子パン、ジャガイモ

タンパク質と脂質を一緒に食べる

炭水化物だけを食べると血糖値が急上昇します。タンパク質や良質な脂質と一緒に摂取すると、消化がゆっくりになり、血糖値が安定します。例えば、ご飯だけでなく、鶏肉や魚、卵、アボカドなどと一緒に食べることで、血糖値の急上昇を防げます。

3〜4時間ごとに軽く食べる

長時間何も食べないと、血糖値が低下して脳がエネルギー切れを起こします。3〜4時間ごとに、ナッツ、ギリシャヨーグルト、ゆで卵、プロテインバーなどを少量食べることで、血糖値を一定に保てます。

戦略3: 戦略的休憩とウルトラディアンリズム

人間の脳には「ウルトラディアンリズム」という90〜120分のサイクルがあります。このリズムに従って休憩を取ることで、集中力を効率的に回復できます。前述のLi et al. (2025)の研究が示すように、適切な休憩は前頭前野の機能を回復させます。

ポモドーロ・テクニック

25分集中 + 5分休憩を1セットとし、4セット(2時間)ごとに15〜30分の長い休憩を取る方法です。脳の集中力を最大限に引き出しながら、疲労を蓄積させません。タイマーを使って、時間を厳密に守ることがポイントです。

「動く休憩」を取る

ただ座って休むより、軽く体を動かす「アクティブレスト」の方が効果的です。5分間の散歩、ストレッチ、深呼吸などで、脳への血流が増え、認知機能が回復します。デスクワークが長い人は、特にこの方法が有効です。

戦略的な昼寝

Li et al. (2025)の脳画像研究では、30分の昼寝が睡眠不足による前頭前野の機能低下を完全に回復させることが示されています。特に、不要な情報を無視する能力(抑制制御)が正常に戻ります。

効果的な昼寝の5原則
時間: 20〜30分(これ以上寝ると深い睡眠に入り、起床後に倦怠感が残る)
タイミング: 午後1〜3時(体内時計の自然な眠気のタイミング)
環境: できるだけ暗く静かな場所、室温18〜20℃
起き方: アラームを使い、起床後すぐに光を浴びる
カフェイン併用(オプション): 寝る直前にコーヒーを飲むと、起きた時スッキリ(ただし午後3時以降は避ける)

戦略4: 運動によるBDNF産生

BDNF(脳由来神経栄養因子)は「脳の肥料」と呼ばれる物質です。BDNFは神経細胞の成長を促し、新しい神経結合を作り、脳の適応能力を高めます。そして、運動は最も強力なBDNF増加方法です。

Sadri et al. (2023)の動物実験では、8週間の有酸素運動により、記憶の中枢である海馬のBDNFが42%、集中力の司令塔である前頭前野のBDNFが38%増加しました。同時に、記憶テストの成績が約50%改善しています。

ヒトを対象とした研究でも同様の結果が得られています。Tsai et al. (2021)では、高強度インターバルトレーニング(HIIT)の直後に、血中BDNF濃度が約19%増加し、認知機能テストの反応時間が12%短縮しました。

Wang et al. (2020)の別の研究では、6週間の有酸素運動プログラムにより、作業記憶(短期記憶)の成績が24%向上し、これが前頭前野のBDNF量と強く相関していることが確認されています。

集中力を高める運動メニュー

  • 有酸素運動: 週3〜5回、30〜45分。ジョギング、サイクリング、水泳など
  • HIIT: 短時間で効率的にBDNFを増やせる。週2〜3回、15〜20分
  • 朝の運動: 1日の脳機能を底上げする効果がある
  • 仕事の合間の軽運動: 5分歩くだけでも脳血流が増え、集中力が回復

さらに、Zanardo et al. (2025)の系統的レビューでは、運動が神経栄養因子を増やすだけでなく、認知機能を直接的に改善することが示されています。運動は、集中力を高める最も強力で、副作用のない方法なのです。

戦略5: 睡眠の質を最優先する

すべての戦略の土台となるのが睡眠です。睡眠不足は、ドーパミンシステムを障害し、脳の炎症を増やし、BDNF産生を低下させます。どんなサプリメントや戦略も、睡眠不足には勝てません。

前述のTagliazucchi et al. (2013)の研究が示すように、深い睡眠中、脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)は特殊な活動パターンに入り、真の意味で回復します。この回復プロセスを妨げると、翌日の集中力は確実に低下します。

睡眠の質を高める7原則

  1. 睡眠時間: 7〜8時間を確保(個人差あり。最適な睡眠時間は遺伝的に決まっている)
  2. 規則正しい就寝: 毎日同じ時刻に寝る(体内時計を安定させる)
  3. 寝る2時間前: ブルーライトを避け、カフェインを摂らない
  4. 寝室環境: 18〜20℃、暗く静か、湿度40〜60%
  5. 朝の習慣: 起床後すぐに朝日を浴びる(体内時計リセット)
  6. アルコール: 寝る3時間前までに。アルコールは寝つきを良くするが、深い睡眠を妨げる
  7. 夕食: 寝る2〜3時間前までに済ませる。満腹状態では深い睡眠に入りにくい

戦略6: マインドフルネス瞑想でDMNを制御

「ぼーっとしているのに疲れる」──この不思議な現象は、デフォルトモードネットワーク(DMN)の暴走が原因です。DMNは、何もしていない時に活発になる脳のネットワークで、過去の後悔や未来の不安について思いを巡らせます。

DMNが過剰に活動すると、無駄にエネルギーを消費し、集中力を奪います。マインドフルネス瞑想は、このDMNをコントロールする有効な方法です。

Yue et al. (2023)の研究では、8週間のマインドフルネス瞑想プログラムにより、脳の機能的ネットワークが再構成され、DMNと「集中モード」の切り替え効率が改善することが脳画像で示されています。つまり、瞑想は脳の「ネットワーク配線」そのものを最適化するのです。

今日から始める5分瞑想

  1. 静かな場所に座り、背筋を伸ばす(椅子でも床でもOK)
  2. 目を閉じ、自分の呼吸に意識を向ける(吸う・吐くのリズムを感じる)
  3. 雑念が浮かんでも、それを責めずに、優しく呼吸に意識を戻す
  4. 最初は5分から。慣れたら10分、15分と延ばす
  5. 毎日同じ時刻に行うと習慣化しやすい

戦略7: 環境設計とマルチタスク排除

どんなに脳を鍛えても、環境が悪ければ集中できません。集中力を維持するには、外部刺激を最小化する環境設計が不可欠です。

一度に一つのことだけに集中する

マルチタスクは、タスクを切り替えるたびにドーパミンシステムに負荷をかけ、「スイッチングコスト」を蓄積させます。前述のChen et al. (2025)の研究が示すように、認知負荷が高い状態ではドーパミン受容体の切り替えが頻繁に起こるため、一度に一つのことだけに集中することで、ドーパミン枯渇を防げます。

デジタルデトックス

  • スマホを別の部屋に置く(視界に入るだけで集中力が低下する)
  • すべての通知をオフにする
  • 作業中はメールクライアントを閉じる
  • ブラウザのタブを最小限にする(3つ以下が理想)

環境の最適化

  • 照明: 自然光に近い色温度(5000〜6500K)が脳を活性化する
  • 室温: 21〜23℃が脳が最も活性化する温度
  • 音: 完全な無音より、ホワイトノイズや自然音(川のせせらぎ、雨音)の方が集中しやすい
  • デスク: 視界に入る物を最小限に。視覚的な雑念を排除する

まとめ:カフェインに頼らない持続的集中力の構築

「集中力が続かない」のは、あなたのせいではありません。脳には生理的な限界があり、Chen et al. (2025)が示したようにドーパミンは枯渇し、Grout et al. (2023)が示したように血糖値は変動し、Steward et al. (2025)が示したように前頭前野は疲労します。これは誰にでも起こることです。

カフェインは確かに即効性があります。しかし、それは疲労シグナルをブロックしているだけで、根本的な解決にはなりません。それどころか、耐性形成、クラッシュ、睡眠障害という代償を払うことになります。Lin et al. (2023)Unsal & Şanlıer (2025)が示すように、慢性的なカフェイン摂取は、長期的には脳の回復力そのものを低下させる可能性があります。

真に持続的な集中力を手に入れるには、脳に必要な栄養を供給し、脳内環境を整え、生活習慣を最適化する──この包括的なアプローチが必要です。

アスリートが身体のコンディショニングに細心の注意を払うように、私たちも脳のコンディショニングに意識を向けるべき時代が来ています。111'NEURO DRIVE®は、その一助となるために開発されました。

集中力は生まれつきの才能ではありません。科学的に構築できるスキルです。今日から、カフェインに頼らない持続的集中力の構築を始めてみてはいかがでしょうか。

引用・参考文献

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Castellote-Caballero, Y., Beltrán-Arranz, A., Aibar-Almazán, A., et al. (2025). Acute Supplementation of Soluble Mango Leaf Extract (Zynamite® S) Improves Mental Performance and Mood: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Crossover Study. Pharmaceuticals, 18(4). https://doi.org/10.3390/ph18040571

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講師は2011年〜2023年の間、全日本選手権パワーリフティング105kg級(フルギアカテゴリー)で12連覇を達成したPPN代表 阿久津貴史(2004年〜NSCAストレングス&コンディショニングスペシャリスト)です。現在は東京都立大学 大学院 人間健康科学研究科 知覚運動制御研究室に所属して、パワーリフティング種目の運動制御に関する研究をしています。

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