Blog

トップアスリートも使用する関節サプリメント素材、UC-Ⅱ®(非変性Ⅱ型コラーゲン)について

トップアスリートも使用する関節サプリメント素材、UC-Ⅱ®(非変性Ⅱ型コラーゲン)について

競技パフォーマンスを上げていく上で、日々のトレーニングは欠かすことができないものですが、負担が大きくなると関節に痛みや障害が生じる可能性が出てきます。 症状が軽いうちは、競技やトレーニング中に軽度の痛みや違和感を感じる程度ですが、十分なケアをせずに体への負荷を繰り返していると、徐々に症状は進行していきます。 プレー中は支障がなくても後で痛むようになってくるようになり、そのまま放っておくと痛みや違和感が大きくなっていきます。 さらに症状が進むと、痛みが慢性化することによってトレーニングやプレーに集中できなくなったり、競技パフォーマンスが大きく低下します。 それを防ぐためには、重症化させないための入念なケアと、必要な栄養の摂取が重要になります。練習量が多いアスリートほど、筋肉だけでなく、関節にも十分なケアと必要な栄養素を与える必要があるのです。 昨今、筋肉の合成に関しては高い知識をもつ選手が増えてきているものの、関節のケアに関してはまだまだ必要な知識が普及していないように感じられます。 そこで今回は、アスリートに必要な関節ケアのためのサプリメント摂取と、私自身が試して効果の高かった「非変性II型コラーゲンUC-Ⅱ®」について紹介したいと思います。 著者紹介 パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持 NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ 阿久津貴史 (公式HP) 1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。 関節の痛みはスポーツ障害につながる恐れも 競技のハイパフォーマンスを追及するためには、練習内容をより高いレベルに移行していく過程が必ずあります。しかしながら、その局面で多くのアスリート達が、「痛み」によって結局元のレベルに戻したり中断せざるを得なかった経験をもっています。 症状が重篤なケースでは、長期間休止期間を設けたとしても症状が改善せず、パフォーマンスが発症前のレベルまで戻らない場合もあります。 それを防ぐための予防的な措置として、日々の適切なウォームアップとリカバリーといった物理的な身体ケアに加え、関節の炎症や修復を促す栄養を摂取することをお勧めしています。 痛みの原因と代表的なスポーツ障害 まず、スポーツ時の関節の痛みは何故起こるのでしょうか? トレーニング・競技中の関節の痛みは、運動時の動作によって関節に繰り返し負荷が加わり、炎症が発生することで起こります。 さらに、度重なる負荷によって軟骨が摩耗していくと、スポーツ障害に至る場合もあります。 軟骨の摩耗・損傷に関連するスポーツ障害として代表的なものは、以下のようなものがあります。 離断性骨軟骨炎 関節は、軟骨が存在していることでスムーズな動きを実現しています。しかし、スポーツなどで同じ動作を長い期間繰り返すと、軟骨が関節内ではがれ落ちてしまいます。この状態を離断性骨軟骨炎と呼びます。 離断性骨軟骨炎は、野球やバスケットボールなど球技と関連したスポーツ障害の一環として発症することが多いです。 代表的な離断性骨軟骨炎として、野球肘が知られています。 変形性膝関節症 膝の中でクッションの役割を果たす軟骨が徐々にすり減り、膝の骨同士がぶつかることで欠損やひび割れを誘発、また破片が関節内の組織を傷つけることで痛みや腫れ・変形が出る症状です。 膝に強い負荷がかかるような競技をしている人、日頃から強度の高い運動をしている人、ウェイトトレーニング等で膝に強い負荷をかけ続けている人の場合は、膝への負担が大きくなるので「変形性膝関節症」を発症しやすくなります。 上記のようなスポーツ障害まで発展すると、運動の休止だけでなく、注射や内服による薬物療法、装具治療などが実施され、さらに症状が強い場合は手術を行うケースもあります。 関節の痛みや障害をサプリメントで抑制することができるのか? 上記のような重篤な症状にならないためには、日ごろから予防的に関節の炎症や痛みを軽減するよう努め、関節軟骨の修復・再生機能を促進させる必要があります。 しかしながら、関節軟骨はひとたび傷むと、自己修復能力に乏しく、再生しにくいという見解が現在は有力です。 消費者に広く認知されている関節ケアとして、カルシウムを沢山摂取するというものがあります。他にも、グルコサミン、コンドロイチンといった軟骨に含まれる成分を摂取することで関節の痛みや軟骨が修復されるような訴求をしている商品が見受けられます。 一見、関節に効果がありそうに見えてしまうのですが、髪の毛の成分を飲んだからといって髪が生えないのと同じで、軟骨の成分を多く摂取したからといって軟骨の再生に直接寄与することはありません。 何故なら、軟骨の成分を経口摂取してもそのままの形では体内で吸収されず、アミノ酸に分解されたのちに吸収されるからです。そのため、単に軟骨に含まれる成分を補う目的のサプリメントのみを摂取しても、効果は現れにくいといえます。 では、どのサプリメントも意味が無いかというと、そうではありません。その点について、次の項目から解説いたします。 トップアスリートも使用する関節サプリメント、UC-Ⅱ®(非変性Ⅱ型コラーゲン)について 私自身、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸といった関節の三大素材から流行素材まであらゆる物を試し続けてきましたが、その中で確信的な手ごたえを感じた素材が「UC-Ⅱ®」です。 UC-Ⅱ®の独自の作用 UC-Ⅱ®は、「経口免疫寛容」という独自のメカニズムで関節の炎症を抑制し、軟骨の修復を促進します。この機序については、Lonza社のホームページに詳しく記載されているのですが、ここでは簡単にその特徴について説明します。 コラーゲンについて:Ⅰ型コラーゲンとⅡ型コラーゲンの違い コラーゲンは皮膚・骨・関節軟骨に多く分布しており、その他に靭帯、腱、骨、 血管など全身に広く分布しています。 コラーゲンには多くの種類があり、生体内での分布や性質によってⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型…といったように20種類以上にも分類されていいます。 一般的にコラーゲン素材というと、化粧品や美容健康食品などに利用されているⅠ型 コラーゲンのことを指します。 一方で、関節軟骨に多く分布するコラーゲンはⅡ型コラーゲンであり、関節炎の発症に深く関与しています。 Ⅱ型コラーゲンは関節の柔軟性や支えの役割を果たしていますが、スポーツ時の負荷や加齢などによって摩耗・減少し、その結果として関節炎を発症することが知られています。 UC-Ⅱ®の主成分は、この「Ⅱ型コラーゲン」です。 「非変性」Ⅱ型コラーゲンと「変性」Ⅱ型コラーゲンの違い コラーゲンは、タンパク質の中で唯一、「三重らせん構造」という構造をしています。この構造は、3本のひもが三つ編み状に絡まり、1本のロープのようになったもので、コラーゲン特有の強い弾力や伸縮性の元になっています。 この三重らせん構造は「熱に弱い」という性質を併せ持っています。 コラーゲンの種類にもよりますが、40℃以上の熱を加えると、らせん構造が崩れ、ゼラチンへと変化(変性)してしまうのです。また、コラーゲンを特殊な酵素などにより加水分解すると、ゼラチンより細かい、コラーゲンペプチドなどの加水分解コラーゲンになります。 このように熱や消化酵素などでコラーゲンの三重らせん構造が崩れたものを、「変性」コラーゲンと呼びます。現在、多くのサプリメントに用いられているのは、高熱処理(100℃以上)や化学処理(酵素処理)によって構造が破壊された「変性」コラーゲンです。 一方で、UC-Ⅱ®の「Ⅱ型コラーゲン」は「非変性」のコラーゲンです。この「非変性」とは、コラーゲンの構造が「体内にある状態のまま損なわれていない」ことを意味します。胃酸などで分解されずに小腸まで届くため、「経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)」が期待できます。 経口免疫寛容とは? 「経口免疫寛容」とは、もともと体内に存在する成分と同じものは攻撃しないという免疫システムの不応答性(抗原として認識せず免疫反応が起こらない)を指します。 痛みの原因となる炎症は、損傷や感染に対する免疫反応によって引き起こされる現象ですが、経口免疫寛容によって元となる過剰な免疫反応を抑制すれば、炎症は改善するという機序になります。 さらに、UC-Ⅱ®の吸収に伴って体内で産生される「抗炎症性サイトカイン」は、関節軟骨の修復や再生を促進する働きがあることが分かってきています。 上記の通りUC-Ⅱ®は、従来の「関節を構成する栄養素や不足する栄養素を補給する」というものではなく、独自の作用機序によって効果的なケアが期待できるものであり、関節の痛みが気になるアスリートにも特におすすめできる成分であるといえます。  まとめ 長くなってしまいましたが、アスリートの関節サプリメントとしてお勧めできるのは「UC-Ⅱ®(非変性Ⅱ型コラーゲン)」であり、その要点は以下のとおりとなります。 ・アスリートのパフォーマンスの妨げとなるのが、関節の「痛み」。症状が進行すると、スポーツ障害が起こる恐れも。 ・重篤な症状にならないためには、日ごろから関節の炎症を軽減し、関節軟骨の修復・再生機能を促進させるよう取り組む必要がある。 ・関節や軟骨の成分を経口摂取しても、アミノ酸に分解されたのちに吸収されるため、従来の「関節を構成する栄養素を補給する」という観点でのサプリメントのみでは関節ケアとして機能しにくい。 ・UC-Ⅱ®(非変性Ⅱ型コラーゲン)は従来のサプリのような栄養補給ではなく、独自の作用機序によって効果的な関節ケアが期待できる。 なお、PPNでは、UC-Ⅱ®︎の配合量強化に加え、よりアスリートを強くサポートするための補助素材も配合した関節サプリメントをご用意しております。 詳細はこちらでご覧いただけますので、「ケガによる悩みを払拭したい、より長く現役生活を続けたい。」そんなアスリートは是非チェックしてみてください。

牛乳が原料のタンパク質、カゼインの正体とは?

牛乳が原料のタンパク質、カゼインの正体とは?

牛乳に含まれるタンパク質は、カゼインとホエイの2つに分けられます。プロテインの原料としてのシェアはホエイにゆずるカゼインですが、どのような特徴を持つタンパク質なのでしょうか?

知っておきたい!クラスターデキストリンの効果!

知っておきたい!クラスターデキストリンの効果!

運動において大きな効果をもたらす糖質素材がクラスターデキストリン。日本生まれの糖質です。では、具体的にはどのような効果があるのでしょうか? クラスターデキストリンの持つパワーに迫ります。

プロテインの選び方。ホエイやカゼインのどちらを使うべきなのか

プロテインの選び方。ホエイやカゼインのどちらを使うべきなのか

一日に必要とされる栄養量を摂取するにあたって、食事のみで最適なバランスを維持するのは難しいものです。そのため、プロテイン摂取によってタンパク質摂取量を調整することはアスリートやトレーニーにとって必須といえます。 しかしながら、単に栄養成分表の数値だけでなく、プロテインの種類によって効き方が変わってくるのはご存じでしょうか? 「Timing is everything.」と言われるように、1日の中でそのタイミングにあった最適な形のタンパク質の形態を選ぶことで成長を加速することができます。この日々の積み重ねが最終的に大きな差となって現れます。 今回は、各種プロテインの特性や推奨の摂取方法について解説するとともに、どのような目的にどのプロテインの種類が合っているか解説します。 著者紹介 パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持 NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ 阿久津貴史 (公式HP) 1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。 基礎知識:プロテインの種類について知ろう はじめに、プロテインの種類について、基礎的な内容を説明します。 プロテインは、製造方法や原材料ごとに、いくつかの種類に分かれます。「何となくホエイを飲んでいる」といった選手も多いですが、種類ごとに特性が変わってくるため、それらの違いについて理解しておくと良いでしょう。 前提として、プロテインの主原料は牛乳または大豆の場合がほとんどです。卵(エッグ)プロテインもありますが最近ではほとんど利用されていないのではないかと思います。 逆に近年では今後の世界的な乳不足の代替プロテインとしてコオロギプロテインなどの昆虫由来のタンパク源も注目されています。牛乳由来の場合は「動物性」に分類され、大豆由来の場合は「植物性」となります。 牛乳由来(動物性)のプロテイン 牛乳由来のプロテインには、ホエイプロテインとカゼインプロテインがあります。「原料が同じなら特徴も同じでは?」と思いがちですが、それぞれ製法や特性が異なります。牛乳にはホエイが約20%、カゼインが約80%含まれています。 ホエイプロテイン 牛乳から乳脂肪分や主要なたんぱく質であるカゼインなどを除いた液体のことを「乳清(ホエイ:whey)」と呼びますが、ホエイから精製されたプロテインをホエイプロテインといいます。 製法としては、まずは牛乳をカードとカゼインに分離します。カード(凝乳)とは、乳がかたまって豆腐状になったもののことですが、これを加熱したり破砕したりすると、中から水分がでてきます。この水分が乳清であり、乳清を原料に抽出されたタンパク質がホエイプロテインです。 余談ですが、昔は乳清はチーズを作る工程で出た産業廃棄物でした。つまり廃棄されていたのですが、この乳清から利益を生めないのか?という視点からタンパク質を欲しているアスリートに商品として売ろうと製品化されたのがホエイプロテインの生い立ちです。つまりホエイプロテインは最初からアスリートのための製品として開発された原料ではなかったのです。 乳清からタンパク質を抽出するには、以下の製法があります。 ①乳清をフィルターでろ過した液体を濃縮するWPC製法 ②WPC製法で得られたタンパク質に対し、さらにフィルター処理やイオン交換処理をおこなってタンパク質以外を極力除去するWPI製法 ③WPC製法で得られたタンパク質をさらに加水分解によってペプチド化させるWPH製法 それぞれの特徴は以下の表のとおりになります。 製法名  特徴 タンパク質含有量(参考値) 値段 WPC:Whey Protein Concentrate(濃縮乳清タンパク質) ろ過して濃縮する製法であり、乳清に含まれるビタミンやミネラルを残しやすい反面、乳糖が残りやすく牛乳に弱い人には不向きな場合も。 80%前後 安 WPI:Whey Protein Isolate(分離乳清タンパク質) タンパク質以外の成分をほとんど除去できるため、乳糖や乳脂、灰分の含有率が低い。そのため、余計なカロリー摂取を避けることができる。 90%前後 中 WPH:Whey Protein Hydrolysate(加水分解乳清タンパク質) ホエイペプチドとも呼ばれる。ペプチドのためアミノ酸に近い大きさ(人体が吸収しやすい)になっており、ホエイプロテインの中で最も消化吸収に優れている。 95%前後 高 激安ホエイプロテインはほとんどWPCです。WPCは乳脂肪などが比較的残っているため牛の飼料に含まれる成分の影響を受ける可能性があります。 そのため最近はグラスフェッドプロテインと呼ばれる牧草で育てたことを売りにするプロテインが流行ってきています。脂肪には不純物質が含まれますので健康な育て方をした牛の乳を売りにしている訳です。 ただ乳脂肪をしっかり濾過した場合はこの考えは特に必要なくなるでしょう。というのは不純物は脂肪に残留するからです。より深く考えるとそもそも放牧して牛が食べている牧草自体が農薬等に汚染されていないのか?という視点も必要です。 どちらかというとグラスフェッドという視点で牛を選ぶのは牛肉として牛を食べる場合の考え方と言えるでしょう。放牧された牛は筋肉質で脂肪分が少なくなります。また牛肉を選ぶ場合は産地もとても重要です。 余談ですが、初めて知る人は驚くかも知れませんが、米国産の牛肉はヨーロッパで何十年も輸入が禁止されています。その最大の理由はホルモン剤です。 米国産の牛肉の多くは成長を加速させるためにホルモン剤が使用されています。日本でもホルモン剤を使った牛の家畜は禁止されています。にも関わらず、米国産の牛肉の輸入は解禁しています。 少し話はそれましたがWPIやWPH(ホエイペプチド)を飲む場合にグラスフェッドかどうかという視点はあまり必要ないと考えられます。最近はWPHの使用も増えていますが、WPH(ホエイペプチド)は期待されているほどジペプチド、トリペプチドといった有効なサイズのペプチドは含まれていません。 ほどんどのWPH(ホエイペプチド)原料に含まれるジペプチド、トリペプチドは約20-30%程度です。製品を水に溶かして沈殿する場合ジペプチド、トリペプチドは多く配合されていないと判断できます。 カゼインプロテイン 前述のとおり、牛乳に含まれる主要なたんぱく質がカゼインプロテインです。 カゼインは水に溶けないタンパク質で、牛乳内ではバラバラの状態で含有されていますが、酢などの酸を加えると凝固して沈殿する性質があります。この性質を使って、牛乳からカゼインを抽出しますが、抽出したカゼインにはミネラルや脂肪、乳糖といったカゼイン以外のものが多く付着しています。 これらの不純物があるとカゼインの品質や保存性を低下させてしまいますので、不純物を大幅に取り除き、カゼインの純度を上げる必要があります。 そのためには、数回の向流洗浄→乾燥工程を経て製造されます。 カゼインは国内外の様々なメーカーで製造されていますが、純度の高いカゼインほど製造コストも品質も高くなります。 安価なカゼインプロテインの多くはMPC(ミルクプロテイン)と呼ばれる、乳のタンパク質組成をそのまま維持したカゼインプロテインです。つまりカゼインが約80%、ホエイが約20%含有しています。つまりカゼインプロテインとして販売していてもMPCを使用している場合は約20%はホエイプロテインということです。カゼイン100%のプロテインを摂取したい場合はMPC原料を使用した製品は避けるべきでしょう。 なお、カゼインプロテインを加水分解したカゼインペプチドも存在します。カゼインプロテインは吸収がゆっくりされることが特徴で最大の利点ですが、加水分解(ペプチド化)するともちろん吸収は早くなります。 ではなぜカゼインを加水分解するのかというとカゼインのアミノ酸組成は筋肉作りに優れているからです。そのアミノ酸組成をそのまま活かして吸収速度を高めたのがカゼインペプチドです。 その代表原料がPeptoPro®︎です。ジペプチド、トリペプチドの含有量が他を寄せ付けないほど多く原料の約70-80%をジペプチド、トリペプチドが占めます。このような原料は他に存在しません。 植物性プロテインやその他 大豆のタンパク質を精製し、粉末状にした「ソイプロテイン」、玄米を粉砕して、タンパク質を抽出した「ライスプロテイン」、また植物性ではありませんが卵白由来の「エッグプロテイン」もあります。 これらを使用するケースとしては、牛乳由来のプロテインが使用できない場合、もしくはトレーニング目的ではなくボディメイク目的で使う場合、または他のプロテインと複合して使う場合に限られるでしょう。 例えば、ホエイプロテインはソイプロテインと比較して高いロイシン含有量となっています。ロイシンは筋肉の蛋白質合成のスイッチを入れるアミノ酸ですが、同じ量のプロテインを摂取したとしても、ロイシン摂取量はホエイプロテインの方がソイプロテイン質よりも高くなります。 そのため、筋肉の合成速度も、ホエイプロテインを摂取したほうがより高い値を示します。 また持続力についてはカゼインプロテインが秀でているため、ホエイとカゼインの組み合わせでタンパク質摂取計画を立てるのが最もシンプルといえます。 推奨プロテイン摂取方法 ではここから、上記の基礎知識を踏まえたうえで、ホエイとカゼインをどう使い分けるか説明しようと思います。 基本的な考え方 筋肉量は、筋肉の合成と分解の繊細なバランスによって維持されています。食事によってタンパク質を摂取すると筋肉の合成が増加し、空腹時には筋肉の分解が促進されます。 特に、ワークアウト直後にタンパク質を摂取すると、アミノ酸に対する筋肉の感受性は高まります。また、運動後にタンパク質を摂取することによって、筋損傷が減少することも報告されています。 そのため、以下2点を意識して食事やタンパク質を摂取すると良いでしょう。 ①空腹となる時間をなるべく減らすこと②トレーニング直後に血中アミノ酸濃度を高くすること タンパク質の消化と吸収について タンパク質はそのままでは直接体内に吸収できません。 タンパク質はアミノ酸の玉が鎖のように繋がった形となっており、鎖の長さは消化酵素(ペプシンやトリプトシン)によって短くなっていきます。 この作用によって、タンパク質からペプチドを経て、最後にアミノ酸という鎖の一番短い状態となり身体に吸収されるわけです。 そのため、プロテイン摂取から身体に吸収されるまでにはタイムラグがあります。 一般的にホエイプロテインはPHが低い(酸性)ため、胃からの排出速度が早いという特徴があります。それに対して、カゼインは先に説明したとおり酸によって凝固・沈殿する特性があります。そのため、胃酸により凝固・沈殿し、胃からの排出が緩やかになります。 このことから言えるのが、ホエイは摂取から吸収までの速度が早く、血中アミノ酸濃度も高くなります。 一方で、カゼインは上記の理由により吸収が緩やかになり、血中アミノ酸濃度の持続性に優れるというわけです。ただPeptoPro®︎や、ホエイペプチドやEAAなどに代表される遊離アミノ酸まで分解された製品と比べるとホエイプロテインの吸収速度はかなり劣ります。 過去の研究では、どちらのプロテインも摂取後約90分で血中アミノ酸濃度が最大となりましたが、ホエイはピークの後すぐにアミノ酸濃度が下降したのに対し、カゼインはピークはホエイよりも低かったものの、血中アミノ酸濃度が高い状態でキープされたことが示されています。 もちろん、食事による影響も無視できません。食事によるタンパク質同化作用は約3~5時間持続するため、その点も考慮しておく必要があります。 理想的な摂取方法とは ホエイとカゼインのそれぞれの特徴を鑑みると、摂取タイミングとしては、ホエイはトレーニング直後、カゼインは就寝前など長時間栄養が摂取できなくなる時間の前に摂取することがお勧めとなりますが、最近ではホエイプロテインより吸収の早い原料が多々出ているため、トレーニング後にホエイプロテインを摂取するという考えは時代遅れと言えるでしょう。 また、カゼインについては、出来る限りタンパク質含有率の高いものを選ぶほうが筋肉の分解を抑えられます。 もちろん食事タイミングも重要で、パフォーマンスを最大化するには、食事ごとに少なくとも 20~30g のタンパク質を摂取すること、また食事を3~4時間おきに摂ることが望ましいです(もちろん、摂取カロリーも考慮する必要があります)。 最後に あらゆる選手に対してうまくいく理想的な摂取方法はありません。それぞれの競技スタイルやトレーニングの負荷、食事、一日のスケジュールによって、理想的な摂取方法は変わるからです。 上記の説明によってプロテインの使い分けを理解していただけると大変嬉しいのですが、その知識を実践するのに選手は困惑してしまうかもしれません。 その場合は、専門トレーナーやスポーツ栄養士にカウンセリングやコーチングを受けるのも一つの戦略といえるでしょう。 ★アスリートのためのカゼインプロテイン/Peptopro®商品のご紹介 私自身がアスリートとして生涯最高のパフォーマンス、すなわちピークパフォーマンスを成し遂げるための栄養戦略を追求するという想いから開発した、カゼインプロテインとPrptopro®商品をご紹介します。 001'PEPTO FORCE2.0 商品詳細 00X’AAA+ALPHA 商品詳細 730'CASEIN PROTEIN 商品詳細 001'PEPTO FORCE 1.1 商品詳細

アスリートのためのリカバリーグッズ選定について

アスリートのためのリカバリーグッズ選定について

トレーニング後のリカバリー(回復)を目的として、各社から様々なリカバリーグッズが販売されています。 リカバリーグッズを使うことによって故障やオーバーワークを防ぎ、パフォーマンスを向上させることが可能です。そのため、リカバリーグッズの選定はトレーニング機材の選定と同じくらい重要といえるでしょう。 しかしながら、多種多様なリカバリーグッズの中から自分に合ったものを選ぶのは簡単ではありません。 そこで今回は、リカバリーグッズの中でも特に効果があると思われるマッサージガン、コンプレフロス、コンプレッションウェアについて解説します。 また、トラディショナルなリカバリー方法であるアイシングについても解説しますので、ダメージや故障に悩む選手や指導者は是非参考にしてください。 著者紹介 阿久津貴史 (公式HP) パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持 NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ 1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。 古川容司 (とよたま手技治療院HP) 筋骨格系治療専門 手技治療院 「とよたま手技治療院」院長 1974年生まれ。2006年より「とよたま手技治療院」開院。神経筋骨格システムに生じた「機能障害」に対してアプローチし、選手・愛好家の別を問わず、アスリートへの競技動作に直結した動作分析・チューニング・手技治療・鍼灸治療をおこない、より高い到達点を極めるための競技パフォーマンス向上に資する確実なサポートを提供している。 リカバリーの重要性について リカバリーグッズについて具体的な解説する前に、改めてリカバリーの重要性について触れておきたいと思います。 リカバリーとは、トレーニングの疲労から身体を回復させるための行為を差します。古くからクールダウンやアイシング、ストレッチ、マッサージといった方法が取られてきましたが、近年は他にも様々な方法が採用されるようになり、その重要性がさらに認識されるようになりました。 そのきっかけの一つが、2010年にマイケル・ケルマン(Michael Kellmann)によって提唱された「シザースモデル(ハサミ理論)」です。これは「トレーニング量(ストレス)に応じてコンディショニング量(回復)を実施しなければ、ストレスの度合いが大きくなり、オーバートレーニングに陥る」というものです。  つまり、ただやみくもにトレーニング量を増やせば良いのではなく、トレーニングをこなした分だけリカバリーもしっかりと実践する必要があるということです。もちろん、リカバリーについても量だけでなく適切な内容・タイミングで実施する必要があります。 リカバリーによる身体の回復過程について 身体がダメージから回復する過程は2段階に分けられます。適切なリカバリー方法を選択するには、このメカニズムを理解しておく必要があります。 第一段階:炎症の発生 トレーニングによって筋線維が破壊されると、筋繊維の壊れた部分に免疫細胞たちが血流によって集まってきます。 集まってきた免疫細胞たちは壊れた筋組織を食べることによって修復しやすい状態に筋線維をトリミングします。それと同時に炎症を促す化学物質やホルモン様の物質を吐き出します。 これによって炎症が起こるため、リカバリーの第一段階は炎症の発生といえるわけです。 第二段階:前駆細胞が筋線維へ成長 第一段階において、免疫細胞が吐き出した物質によって筋線維の元となる細胞(前駆細胞)が刺激を受けると、前駆細胞は分裂・増殖します。 時間の経過によって免疫細胞が吐き出した物質が筋の外に排出されると、増えた前駆細胞が筋線維に変化します。 最もよく知られるリカバリー方法は「マッサージ」ですが、これは免疫細胞が吐き出した物質を物理的にもみ出すことによって、筋の回復や筋線維の成長を促すことが期待できるというわけです。  リカバリーグッズの種類 上記のメカニズムを鑑みると、筋線維の回復・成長という観点から以下のリカバリーグッズが推奨されます。 マッサージガン コンプレフロス コンプレッションウェア マッサージガンの特徴と効果 マッサージガンは、サッカープレミアリーグのチームなど、多くのプロスポーツチームで導入されているリカバリーグッズです。 形状は電動ドリルのような形をしており、スイッチを入れると先端部分が超高速で振動する機器で、指圧では再現できないスピードで振動するため、筋肉の深部まで刺激が到達します。 そのため、「筋膜(筋肉を包み筋繊維の深くまで入り込んでいる膜)」に効果的にアプローチできるのがマッサージガンの特徴です。 以下の写真は、マッサージガンの中でも人気のドクターエアのリカバリーガンと、SIXPADのパワーガンです。他にも各社からマッサージガンが発売されており、使い勝手や機能に若干の差異があるものの、いずれも筋の回復や成長に効果が期待できます。 振動の振れ幅、形状、サイズ、重量、などで適切なものを選択するといいでしょう。特に振動の振れ幅の違いは筋肉への刺激そのものに影響します。私個人としては振動の振れ幅が大きすぎると痛みを感じ、むしろ筋肉の緊張を生むのでお勧めではありません。移動やの際は遠征にはとにかく小さいものを選択しています。  医学学術誌「Science Translational Medicine」で発表された論文では、マッサージガンの治癒効果とそのメカニズムが細胞レベルで詳細に説明されています。 論文によると、マウスで行った実験では機械によるマッサージは回復を早めるだけでなく、筋肉をより強化する効果があると明らかになっています。 2週間かけて、脚を損傷したマウスの筋肉に一定間隔同じ強度の力を加え続けたところ、損傷した筋繊維の減少が顕著で筋繊維の断面積が大きくなっていたという実験結果になっています。 また、マッサージを受けた筋肉は、受けていない筋肉の約2倍の速さで再生し、損傷した組織の瘢痕化も減少したという結果も出ています。 コンプレフロスの特徴と効果 オリンピック選手などトップアスリートも使用している「コンプレフロス」は、疲労や柔軟性の回復にとても優れています。効果としては、以下の2点があげられます。 ①ケガの対処 肉離れ、筋肉痛、突き指、足首や膝の痛みなど、ケガの患部に巻きつけて圧迫することで、疲労や違和感を軽減させることができます。 コンプレフロスの幅によって強度が異なるため、患部に合わせて適切な幅のものを選ぶことが必要です。 ②可動域を拡げる コンプレフロスを使用し圧迫することで筋肉内の組織(Fascia)の流動性が高まって筋膜リリースが起こるのと、一酸化窒素の濃度上昇により血管が拡張し血液循環が良くなります。 圧迫によりこうした効果が得られることで、スムーズに身体が動くようになり可動域が拡がることにつながります。 コンプレフロスによる回復エピソード(古川先生) 以前、大学重量挙部のメディカルトレーナーを務めていた時のことです。インカレを1か月後に控えたある日、レギュラーの選手が肘を捻挫してしまいました。損傷は中等度で、とても大会に間に合うような怪我ではありません。普通であれば控えの選手と交代するところですが彼の階級は控えの選手がおらず、周囲からどうにか試合に出せるようにして欲しいと懇願されたことがありました。 靭帯の部分断裂は組織の修復に3週間はかかります。そこからリハビリ期間も考えなくてはならず、とても大会に間に合う状況ではありません。しかしあきらめるわけにもゆかず、少しでも可能性を手繰り寄せるためにコンプレフロスをセルフケアに処方してみたのです。 正直なところ、明確な靱帯損傷が認められていましたので劇的な回復は期待していませんでした。しかし、予想は大きく覆り、彼の肘は驚くべき速さで回復していったのです。 結果、大会に間に合ったばかりかほぼベストに近い重量を挙げるまでの活躍を見せてくれました。彼自身の回復力の高さやそのほかの対策の効果もあると思われますが、以来、捻挫や肉離れなどのセルフケアにはコンプレフロスを積極的に処方するようにしています。 ちなみに、コンプレフロスの巻き取りが面倒な場合は、ドリルで巻き取るのもお勧めです。工夫次第で色々応用が利くのもコンプレフロスの特徴です。 コンプレッションウェアの特徴と効果 コンプレッションウェアは、伸縮性の高い生地が使われており、着圧が高いことが特徴のウェアの総称です。コンタクト系スポーツなどでは打撲による筋挫傷などはよくある怪我ですが、そうした故傷には圧迫という処置がとても有効な手立てとなります。 「コンプレッションウェアには筋損傷(負荷のかかる運動によってダメージを受けた筋肉)の回復効果がある」ということを確認した研究があります(参考:運動後のコンプレッションウェアの着用が筋機能の回復や筋損傷に及ぼす影響の解明)。 30分間のランニング後、以下の2グループに分けて、その後の筋肉の回復度合いを確認しました。  運動後、通常のウェアを着用した人  運動後、コンプレッションウェアを着用した人 その結果は、以下のとおりコンプレッションウェアを着用することで、筋肉の疲労回復が促進されやすくなることが判明しています。  コンプレッションウェアを着用した人は筋肉回復が促進された  運動に伴う筋損傷が大きい場合に限られる コンプレッションウェアによる回復エピソード(古川先生) 10年以上前になりますが、当時コンプレッションウェアという商品が無い時代に、フルコンタクト空手の選手のコンディショニングに携わっておりました。 二日にわたって戦うような大会もあり、そうした大会では二日目のコンディションを維持するのに神経を使ったものです。 ご存じの方も多いと思いますが、フルコンタクト空手では大腿部を蹴りあうシチュエー ションが多く、初日の戦いで太ももにひどい打撲傷を負い、翌日の朝には脚がガチガチに固まってしまい動けなくなってしまうことがよくあります。 この筋硬直は打撲による内出血が原因となります。打撲症では千切れた筋繊維から出血が生じま す。この血液が曲者で、血管の外にあふれた血液は強い炎症を起こします。その刺激を受けて大腿部の筋肉 には頑固な硬直が生じるわけです。裏を返せば打撲による出血を最小限に抑えることができれば翌日のコンディションの悪化を最小に抑えることができる可能性が出てきます。 そこで一日目の大会の夜、打撲傷でボコボコに腫れた選手の脚に女性用のストッキングを履かせてみたのです。ストッキングをはいたその姿はけして格好の良いものではなく、選手自身から不満の声も聴かれましたが、翌朝予想をはるかに超える結果を目にした時には選手ともども驚きとともに大いに満足しました。 アイシングの効果 最後に、古くから用いられているリカバリー方法であるアイシングの新しい研究結果を紹介します。 アイシングは肉離れなど筋損傷後の再生を遅らせる可能性があることが、神戸大学大学院保健学研究科の教授らの研究により明らかになっています(参考ページ)。 この研究では、アイシングをしたグループとしないグループで、筋損傷2週間後の再生骨格筋の経過を観察しました。その結果、アイシングをしたグループはしていないグループよりも横断面積の小さい再生筋の割合が有意に多くなっていたことから、アイシングによって骨格筋の再生が遅延している可能性が見出されました。 「ケガをしたらすぐにアイシング!」とひと昔前は言われていましたが、それはもう古い考えになるでしょう。 とはいえ、一概にアイシングがダメというわけでもありません。例えば、内出血を伴うような「ケガ」の時です。こうした状況では内部の出血が大きければ大きいほどのちの修復に時間がかかってしまいます。 また、厄介なのは筋肉内の出血です。これはパッと見では出血に気付けないばかりか、回復に長い期間を要する故傷です。内部の出血を伴う損傷が予想されるケースでは、従来通りの圧迫とアイシングが上位の選択肢となります。 回復と筋肥大のためには血流を促進すること 回復と筋肥大の促進のメカニズムの共通項は、ずばり「血液循環」です。今回ご紹介した論文やその他研究結果から、回復初期から血流が保たれることが重要だということがわかります。 リカバリーの期間全般を通じて血流を妨げる要素がなければ回復も筋肥大も効率化されるという事実が浮かび上がってきます。 血流を妨げる要素と解消法 筋内の血管は筋繊維を包む筋膜の中を通っています。身体の組織は炎症を起こした後にはやけどの跡のケロイドのように縮みます。 これは筋膜組織も同様で、度重なるトレーニングによって筋膜組織の短縮が蓄積した場合、筋膜間を通る血管は踏みつけられたホースのように圧迫されるようになります。その結果、血流が阻害され、筋内は慢性炎症を起こしてしまいます。 これを解消するには、マッサージ等によって筋内に溜まったゴミや用済みの免疫細胞たちを押し出すことが有効です。しかしながら、上記のとおり出口となる静脈やリンパ管が縮んだ筋膜組織によって押しつぶされて狭まっている状態ですと、マッサージのように皮膚の上から圧迫をかけるという作業は、狭い出口からぐいぐいとゴミを押し流すといった作業になります。 根本的な解決は血管(静脈)やリンパ管への圧迫を解除することです。それには縮んだ筋膜の長さを取り戻すことです。そのために最適な手法が、お馴染みのスタティック(静的)ストレッチなのです。 筋膜という組織はコラーゲン繊維で出来ています。コラーゲン繊維は非常に硬く頑丈な繊維なのですが、軽い力で時間をかけて引き延ばすとカンタンに伸びてゆくという面白い性質を持っています。このコラーゲンの特性を存分に生かせるのがスタティック(静的)ストレッチです。 参考記事:静的ストレッチと動的ストレッチを適切に使い分ける方法 スタティックストレッチを日々のリカバリーに取り入れつつ、特に重点的に回復を促したい個所にはマッサージガンを使い、損傷が見られる場合はコンプレフロスなどによる圧迫を実施することがベストであるといえます。 ★目的別:アスリートのためのエルゴジェニック商品 私自身がアスリートとして生涯最高のパフォーマンス、すなわちピークパフォーマンスを成し遂げるための栄養戦略を追求するという想いから商品を開発しています。目的ごとに様々なラインナップを揃えておりますので、以下のボタンからご覧ください。 筋力・パワーアップ 商品一覧 スピードアップ 商品一覧 持久力 商品一覧 体脂肪減 商品一覧

BCAAの摂取について知っておくべきことを徹底解説。

BCAAの摂取について知っておくべきことを徹底解説。

人体の約20%はアミノ酸で構成されており、一般の人はもちろん、体のコンディションがパフォーマンスを左右するアスリートは特にアミノ酸の摂取方法に配慮すべきです。 2020年に980万トンの市場規模に達したアミノ酸市場ですが、2021年から2026年までの年平均成長率は約5%と引き続き伸長し、2026年には1,310万トンに達するといわれています。 そのなかで商用アミノ酸の代表格といえるのが、みなさんご存知のBCAAです。私も多くのアスリートから「BCAAをサプリメントで摂取するべきなのか?」という質問を受けます。 しかしながら、結論から言ってしまえば、昨今のようにあらゆる形態のタンパク質サプリメントが出ているなかでは、BCAAはそれほど重要な存在ではなくなっています。 その理由を今回は解説しようと思います。 著者紹介 パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持 NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ 阿久津貴史 (公式HP) 1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。 そもそもBCAAとは何ぞや? BCAAとはBranched-Chain Amino Acids(分岐鎖アミノ酸)の略で、アミノ酸のなかでもバリン・ロイシン・イソロイシンのことを言います。 アミノ酸とは、タンパク質を構成している最小単位です。アミノ酸が2つ繋がるとジペプチド、3つ繋がるとトリペプチド、そして50個以上連結されるとタンパク質と呼ばれます。 最小単位から並べると、アミノ酸→ペプチド→タンパク質(プロテイン)という順番で大きな構造になるということです。 BCAAはアミノ酸の中でも、体内で合成できない「必須アミノ酸」に属しているので、口から摂取する方法しかありません。 年齢によって必須となるものは変わりますが、ヒトでは9種類のアミノ酸(イソロイシン・ロイシン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン・トリプトファン・バリン・ヒスチジン)が必須アミノ酸とされています。 アミノ酸の歴史を簡単に紐解くと、最初のアミノ酸は1806年にアスパラガスの芽から発見された「アスパラギン」に遡ります。そして1935年までの129年間のうちに、タンパク質を構成している全てのアミノ酸が発見されました。 そのなかでもBCAAは、糖質や脂質に次ぐ運動中のエネルギー源となるため、1970年代後半頃から注目を浴び、巨大原料メーカーの研究や広告の追い風を受け、またたく間に流行しスポーツ界に定着しました。 BCAAの摂取が推奨されている理由 BCAAの摂取をメーカーが勧めている理由は、BCAAには下記5つの特性があるとしているからです。 BCAAは人の筋タンパク質の約35%を占める、最も多いアミノ酸である 運動中のエネルギーになる 中枢神経の疲労を抑制する 運動中の筋肉の合成を高める 運動中の筋肉の減少を抑える  しかしながら、BCAAをサプリメントで摂取することが効果につながるのかというと、それは別の話となります。上記の5項目について、それぞれひとつずつ詳しく見ていきましょう。 メーカーが勧める理由①「BCAAはヒトの筋タンパク質の約35%を占める最も多いアミノ酸である」 「BCAAは人の筋タンパク質の約35%も占める」これは事実です。35%も占めると言われると非常に重要だと感じますが、だからBCAAだけ摂取すればいいという考え方は浅はかです。残りの約65%を構成しているのは他のアミノ酸であることを忘れてはいけません。 ここで少し皮肉めいた話を。 食物中に必須アミノ酸がどれだけバランスよく含まれているのかを見る指標として「アミノ酸スコア」というものがあり、アミノ酸スコアが高いほど「質の良いたんぱく質」を含んでいる食品だと言われています。 9種類の必須アミノ酸は体内で生成することができないため、食品に含まれるアミノ酸の組み合わせや量によって体内での利用効率が変わってきます。 必須アミノ酸のうち、最も不足している必須アミノ酸を「第一制限アミノ酸」と呼び、この第一制限アミノ酸によってタンパク質の生成に制限がかかってしまいます。 このアミノ酸スコアという考え方を用いてBCAAの摂取促進に関して考察すると、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸から構成されるBCAAのみを摂取しても、他6種類の必須アミノ酸の摂取量はゼロになるので、体内で効率的なタンパク質生成はされないということになります。 もちろん1日単位で見れば、他の必須アミノ酸は他の食物から摂取されているので実際にはゼロにはならないのですが、BCAAだけ突出して摂取量を増やしても、他の必須アミノ酸が不足していては体内で効率よく使われないということです。 国際スポーツ栄養学会では各種サプリメントのエルゴジェニックエイド的効果を3段階評価で分けていますが、BCAAは筋肉形成サプリメントとしてもパフォーマンスアップサプリメントとしても評価は「Ⅱ. 有効性を裏付けるエビデンスが限定的または相反する」に属していることは注目に値します。 プロテインとBCAAの両方を扱っているメーカーさんがプロテインの宣伝文句ではアミノ酸スコアの重要性を謳い、BCAAの宣伝となるとアミノ酸スコアには一切触れないのは不思議な話です。 メーカーが勧める理由②「運動中のエネルギーになる」 BCAAは運動中のエネルギーになります。 しかし多くの方がご存知の通り、エネルギーとして最も利用効率の高い栄養素は糖質です。最近は過酷な減量をするボディビル選手でさえ、減量期のトレーニング中に糖質摂取をする方もいます。 もう一度書きますが、エネルギーとしても最も利用効率の高い栄養素は糖質です。つまりアスリートが運動中のエネルギーになるという理由でBCAAに投資することはとてもリターンの少ない行為になります。 分かりやすい例として、BCAAを5g(5000mg)摂取して全てエネルギーに変換されたとしたら、5g×4kcal=20kcalのエネルギーになりますが、20kcalではたして何メートル走れるのでしょうか...? BCAAをエネルギー源としてとらえることはナンセンスであることは明確です。 メーカーが勧める理由③「中枢性疲労を抑制する」 "BCAAは中枢性疲労を軽減させる"という仮説(Eric A.Newshole)はBCAAを販売するメーカーによって宣伝に使われているため広く知れ渡っているのですが、近年これは間違いでないかという説も出てきています。 まず、BCAAが中枢性疲労を軽減させるという仮説を詳しくみていきましょう。 この仮説における中枢性疲労を起こすとされる原因は、運動により増大したトリプトファンからセロトニンの合成が上昇し、セロトニン作動性神経の活性が増大し、この神経活性が中枢性疲労を引き起こすというものです。 このセロトニンの元となるアミノ酸のトリプトファンが脳内へ取り込まれるのをBCAAが阻害する働きがあるため、BCAAを摂取すれば中枢性疲労が抑制されるのではと考えられてきました。 BCAAがなぜトリプトファンの吸収を阻害できるかというと、BCAAとトリプトファンは同じ輸送体を使うため、運搬過程において競合し合います。結果的に、BCAAの摂取はトリプトファンの脳内への運搬を阻害する働きがあり、BCAAを摂取することが最終的にセロトニン合成を抑制し、中枢性神経の疲労を抑制するのに有効とされました。 しかし、慢性疲労者やうつ病患者はセトロニンが不足しており、セロトニン不足は不安感、ネガティブな感情を助長することは広く知られている通りです。 また、日中にセロトニンが正常に分泌されない人は、夜になって睡眠ホルモンのメラトニン生成が減少し睡眠の質が低下することもわかっています。誰でも睡眠不足が続けば集中力が低下することは容易に想像できるかと思います。 前述の「運動を行うとトリプトファン濃度が増加し、同時に脳内セロトニン濃度も増加する」という現象は、むしろ運動で生じる精神的疲労に対抗するために生じているポジティブな反応という見解も存在します。 またランニング、水泳、サイクリング等のリズム性運動時にはセロトニン神経が活性化されることがわかっており、むしろセロトニン分泌のために推奨されているくらいです。 つまり、BCAAの摂取により脳内セロトニン濃度を引き下げて中枢性疲労を減少させるという仮説はには多くの疑問が残ります。古い考えと言ってしまってもいいかもしれません。 おそらく、トレーニングでBCAAを多量摂取され、かつ寝づらさを感じている方は、BCAA摂取によりトリプトファン吸収の阻害→脳内セロトニン濃度が低下→睡眠ホルモンメラトニン生成の阻害→睡眠の質の低下というサイクルを引き起こしているとも考えられます。 ※セロトニン仮説に関しては全てが解明されていませんが、最近では運動による疲労感の増大はセロトニン作動性神経の活性化によることよりも脳内でのTGF-βによる中枢性疲労発生機構なども見出されています。 メーカーが勧める理由④「運動中の筋肉の合成を高める」 「運動直前や運動中にBCAAを摂取することで筋肉の合成を高める」という仮説は、嘘偽りのない真実です。 しかし、必須アミノ酸の量が多いほど筋タンパクは合成するものなので、BCAAよりも「必須アミノ酸サプリメント」や「ペプチドサプリメント」として必須アミノ酸を多く摂取する方が効果がより高くなります。 さらに、最近このことは多くのトレーニー、アスリートの間で広く知れ渡ってきているようです。また前途した国際スポーツ栄養学会の評価においてもBCAAよりもEAAの方が筋肉合成の評価は高く位置付けられています。 さらに、EAAなどと一緒に糖質を同時に摂取することで、インスリン反応によるタンパク質の合成は高まります。筋合成というポイントでBCAA単体のサプリメントを摂取することはインパクトの大きいものとは言えないでしょう。 メーカーが勧める理由⑤「運動中の筋肉の減少を抑える」 「BCAAを運動直前や運動中に摂取することで筋肉の異化(溶かす作用)を減少させる」という仮説も嘘偽りのない真実です。 しかし、これらも必須アミノ酸やペプチドのサプリメントを摂取する方がより異化の防止に役立ちます。当然同じく糖質を加えることでより異化の防止も高まります。 市場で販売されているBCAAサプリメントについて ここからは、市販されているBCAA商品について、さらに切り込んで行きたいと思います。 商品ごとに値段が異なる理由 BCAAだけを配合した商品もさまざまですが、メーカーによって大きく値段が異なります(※注記:BCAA以外を配合している場合は今回割愛させて頂きます)。 同じBCAAでも、なぜメーカーによって値段が違うのでしょうか? 違いを生む大きな要因は下記の4つです。 1.原料や資材メーカーの違い 2.工場の違い3.ロット数の違い 4.その他費用の違い 原料であるアミノ酸の主なメーカーは、国内だと2社が最大手となりますが、そのほか海外にも多くの原料メーカーが存在します。当然、生産国によって非常に安い原料も存在しますし、その逆も然りです。 そして、それは資材も同じです。最終製品まで加工する工場によって発生するコストは異なり、海外原料を海外工場でパッキングするほうが当然費用は安く抑えられます。 ただし海外工場では衛生面や、そもそものコンプライアンスが破綻している工場もあります。 例えば、日本メーカーの原料を配合するよう工場に指示を出しているのに、実際はその工場は安い外国産の原料を混合して製品化している、なんてことも起こる可能性があります。残念なことですが、日本でも食品の産地偽装問題などニュースで聞くことがありますね。 発注ロットに関しても、一度に発注する量を大口にすれば当然単価は安く抑えられますが、これには限界があります。 そのほか、ドーピング検査費用の有無、倉庫費用、配送費用、広告費用、卸販売をするのかネット直販なのか、といった販売側の事情も商品価格に影響してきます。 余談ですが、メーカーによってはドーピング検査をしていないのに、世界アンチドーピング機構に遵守した製造をしているといったような表記をしているメーカーもあります。 サプリメントのドーピング問題は製造中の過程でドーピング禁止物質が混入してしまうことが最大のポイントなので、最終製品の検査を実施していないメーカーの宣伝文句には注意しましょう。検査を実施している会社は製品に検査機関のロゴ、もしくはWEB上で検査証明書を公開しています。 商品製造にはメーカー側のさまざまな事情があり、一概に安いから良いというわけではないということが見えてきたのではないでしょうか。 「BCAA 〇〇グラム配合!」は嘘? 「ホエイプロテイン中にBCAAが〇〇グラム含有!」なんて書き方をしているメーカーさんを見かけたことはありませんか? プロテインに単体のアミノ酸としてBCAAを添加していないにも関わらず、アミノ酸組成としてBCAAが含まれることを、あたかも単体のアミノ酸としてBCAAが含まれていると広告することは、消費者を誤認させてしまう可能性が高い表現です。 私が開発したカゼインプロテインを例に挙げると、アミノ酸組成としては当然、バリン、ロイシン、イソロイシンが含まれていますが「BCAA〇〇グラム配合!」という表現はもちろん行っておりません。 しかし、消費者を誤認させる表現の場合、このアミノ酸組成の合計値で「100g中BCAA〇〇g配合!」と謳っているということです。 このような表記だと、純粋にBCAAが含まれているプロテインだと誤認してしまうのではないでしょうか。 国産原料使用という表記に隠された真実 「国産のアミノ酸使用」を謳っているメーカーさんもいらっしゃいますが、100%使用なのか、全体の少量だけ国産品を使用しているのか、という問題もあります。 前途のように、サプリメントメーカー自体が工場に騙されているケースもありますが、残念なケースとしては意図的にロイシンだけ国産100%使用し、バリンとイソロイシンは中国産を使用するといったことも起こり得ます。 悲しいことですが、「国産使用」の表現があっても一概に安心はできないということですね。 まとめ 「BCAAを飲む必要があるのか、それともないのか?」最後に私見の総括を述べさせて頂きます。 冒頭でも結論として記載しましたが、もし他にタンパク質サプリメントが一切存在しないのならば、飲んだ方がいいでしょう。 しかし、昨今のようにあらゆる形態のタンパク質サプリメントが出ているなかでは、BCAAはそれほど重要な存在ではなくなっています。 本当にBCAAが必要と考えているなら弊社でも早期に商品化していますがBCAA商品を販売していないことが、「BCAAを飲む必要があるのか?」という問いに対する私の答えです。 サプリメント業界の裏側について厳しめに書いてきましたが、商品を見極める目や知識がないと、良い商品に巡り合えない可能性もあります。 「せっかく投資するならより良い商品に出逢ってほしい」と願って、今回は正直な気持ちを記事にしました。 ★目的別:アスリートのためのエルゴジェニック商品 私自身がアスリートとして生涯最高のパフォーマンス、すなわちピークパフォーマンスを成し遂げるための栄養戦略を追求するという想いから商品を開発しています。目的ごとに様々なラインナップを揃えておりますので、以下のボタンからご覧ください。 筋力・パワーアップ 商品一覧 スピードアップ 商品一覧 持久力 商品一覧 体脂肪減 商品一覧

静的ストレッチと動的ストレッチについて、よくある間違い

静的ストレッチと動的ストレッチについて、よくある間違い

前回の記事「静的ストレッチと動的ストレッチを適切に使い分ける方法」では、静的・動的ストレッチにはそれぞれ優れた効果があり、シチュエーションごとに適宜使い分けることで競技者の成長を支える強い味方になる、という内容を私 阿久津の実体験を交えながらご紹介しました。 今回は、東京都練馬区にある『とよたま手技治療院』の古川先生より、静的・動的ストレッチについて詳細な考察をいただきましたので、その情報をご紹介いたします。 著者紹介 阿久津貴史 (公式HP) パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持 NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ 1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。 古川容司 (とよたま手技治療院HP) 筋骨格系治療専門 手技治療院 「とよたま手技治療院」院長 1974年生まれ。2006年より「とよたま手技治療院」開院。神経筋骨格システムに生じた「機能障害」に対してアプローチし、選手・愛好家の別を問わず、アスリートへの競技動作に直結した動作分析・チューニング・手技治療・鍼灸治療をおこない、より高い到達点を極めるための競技パフォーマンス向上に資する確実なサポートを提供している。 静的ストレッチについて、よくある勘違い 静的ストレッチはこちらの記事でも解説したとおり、反動をつけずに身体をゆっくりと伸張させていき一定時間保つストレッチ方法です。ほとんどのアスリートが取り入れているストレッチ方法ですが、勘違いによって効果が半減してしまうこともあります。 よくある間違い①:筋肉全体を伸ばしている 筋肉を伸ばす印象を持っている選手も多いと思いますが、実は静的ストレッチのターゲットとなるのは筋膜です。筋膜は、コラーゲンというタンパク質の繊維で編まれた布地のような組織で、筋繊維を束ね、一つの筋肉を形作る役割を持っています。 この筋膜は、筋繊維よりも長さが短く、伸張性が低いという特徴があります。そのため、静的ストレッチでは筋繊維よりも先に筋膜のほうが伸張限界に達します。 どういうことかというと、皆さんがストレッチなどで「筋肉を伸ばしている」という感覚は、本当は筋膜がストレッチされている感覚だったということです。 よくある間違い②:強く伸ばしたほうが効果的 筋膜には面白い特性があり、急激な伸張刺激には、車のシートベルトのように引き伸ばされまいと耐えるのですが、やさしくじんわりと持続的にストレッチをかけると従順に伸びてゆく、という特性を持っています。 この特性をふまえ、静的ストレッチの効果を高めるには、軽刺激で実施することが重要なポイントとなります。 逆に、痛みを伴うほどの強すぎるストレッチは、筋に防御的な緊張を生み出します。 前述のとおり、静的ストレッチのターゲットとなる筋膜は、筋繊維よりも短くできていますので、痛みで筋繊維が縮むと筋膜にはストレッチがかけられません。 そうなると、いくら頑張っても筋全体の長さは伸びないままとなってしまいます。それどころか、痛み刺激によって緊張感が高まると関節の可動域は開くどころか狭くなることすらありますので、くれぐれも静的ストレッチはやさしく心地よい範囲を心がけてください。 よくある間違い③:持続時間は1分間程が良い 各種静的ストレッチを60秒ずつ実施している選手もいますが、30秒のストレッチと60秒のストレッチを比較した実験では、効果に差がなかったとの報告があります。 そのため、時短で効果を得たいときには60秒かけるよりも、30秒のストレッチをおすすめします。 一方で、しっかりと変化を引き出したいのであれば90秒がおすすめです。治療家の経験から言えるのですが、筋膜はじわじわ伸びるのではなく、2〜3回に分けて段階的に伸びてゆきます。 タイミングとしては30秒までに一山、60秒から90秒にもう一山、と段階的に伸びてゆきます。60秒では2山目の変化がおこるのは稀ですので、関節の可動範囲を十二分に拡げたいのであれば、90秒のストレッチをおすすめします。 よくある間違い④:トレーニング前に静的ストレッチをする 実は、静的ストレッチを行うとパワー系競技者やスプリンター、ジャンパーのパフォーマンスは落ちます。 パワーやスピードを発揮する際、筋肉の弾性力や、粘性力、関節のあそびの少なさなどが必要となるのですが、静的ストレッチを行い可動域が大きく広がってしまうことで、こういった必要な要素が減少してしまうからです。 そのため、スピードやパワーを発揮しなければならないアスリートは、トレーニング前は動的ストレッチをメインにすべきなのです。 静的ストレッチの効果を上げるためのワンポイントアドバイス では、静的ストレッチの効果を上げるには、具体的にどのような行動を取るとよいのでしょうか? アドバイス①:人間の身体に備わる「適応」という機能を知る 私たちの身体には、与えられた刺激に耐えられるよう「適応」という機能が備わっています。「適応」という機能によって、ウエイトトレーニングを続ければ筋が肥大するわけですし、ストレッチをコンスタントに一定期間以上行うことによって、着実に筋膜と筋繊維の長さを長くできるのです。 適応のトリガーを引くためには、コンスタントに刺激を与える必要があります。 静的ストレッチによって「筋膜が限界まで伸びている(伸張限界)」という刺激をコンスタントに経験させることで、身体が適応し、柔軟性が高まるという結果になります。 アドバイス②:適応を促しやすいのはトレーニング終了直後 可動域のボトムアップを狙うのであれば、トレーニング終了直後の静的ストレッチを習慣的に行うことをおすすめします。トレーニング終了直後は身体も温まっており、余計な硬さがなくなるタイミングだからです。 このタイミングであれば筋膜組織にダイレクトにストレッチ刺激を与えることができるので、適応を促しやすくなります。 アドバイス③:可動域を拡げたいなら、まずは3週間頑張ってみる ネズミを使った実験なのですが、3週間ふくらはぎにストレッチをかけたところ、筋繊維の長さと筋膜組織の長さが細胞レベルで成長したという報告がありました。 そこで関節の可動域を拡げたいならば、まずは3週間、狙った部位の静的ストレッチを左右2〜3セット行うことをおすすめします。 毎日実施することが難しいようであれば、3日以上空けないようにする程度でもよいので、コンスタントに静的ストレッチを行ってみましょう。 動的ストレッチについて、よくある勘違い ここからは、動的ストレッチについて説明していきます。 動的ストレッチは勢いや反動など動きをつけて筋肉を伸張させる方法です。分かりやすい動的ストレッチの代表格は「ラジオ体操」です。しなやかにリズミカルな動きで筋肉や関節を使います。これについても、誤解が多くあるので、ここで解説します。 よくある間違い①:動的ストレッチは筋肉を柔らかくする 動的ストレッチも筋肉をほぐすイメージを持っている選手が多いと思いますが、実は動的ストレッチのターゲットは筋をコントロールしている神経です。 神経は同じ動作を丁寧に繰り返すうちに、筋肉への命令の速度と強さが高まってゆく「ファシリテーション」という神経生理学的な現象を起こします。ファシリテーションがおこると筋肉の反応速度と収縮力が平常時よりもずっと高くなります。 ウエイトトレーニングをされる方なら、トレーニング開始時に感じるシャフトの重さと、片づける際のシャフトの重さを比べると、トレーニング後のシャフトが驚くほど軽く感じられるという経験をお持ちではないでしょうか。 これが、神経機能が高まった状態=ファシリテートした状態です。 神経をファシリテートさせて、筋肉への命令の速度と強さが高めるのが動的ストレッチの目的となります。 よくある間違い②:柔軟性が高くなることで可動範囲が拡がる 意識的に関節を動かすことのできる可動範囲のことを、「モビリティ」と呼びます。要は、関節をコントロールする能力のことです。 一方で、柔軟性のことを「フレキシビリティ」と呼びます。要は、身体の柔らかさのことです。 動的ストレッチで高まるのはフレキシビリティではなく、モビリティという点であることを覚えておきましょう。 モビリティとフレキシビリティの違いとは? モビリティとフレキシビリティの違いについては、伝わりにくいところですので、ここで詳しく説明します。 静的ストレッチで180度の開脚ができたとします。これは、単にフレキシビリティが高ければ実現できる動きです。 しかし、それだけではバレリーナのように、立位で頭の横まで片脚を上げられるとは限りません。足の重さを支えるために筋肉や関節をコントロールしなければならないので、モビリティがなければ実現できない動きです。 モビリティとフレキシビリティは混同されやすいのですが、本来区別されるべき能力で、競技に求められるのはフレキシビリティはもちろん、モビリティが必要になります。 静的ストレッチで手に入れたフレキシビリティは、先のバレリーナの例でも説明したように、そのままではパフォーマンスに反映できないケースがあります。 一方で、動的ストレッチであらわれるモビリティは、即座にパフォーマンスに反映することができます。 よくある間違い③:動的ストレッチのほうが静的ストレッチよりも優れている 動的ストレッチによって獲得できるモビリティは即座にパフォーマンスに反映することができます。この点が動的ストレッチの大きな利点であり、運動の導入、ウォーミングアップに積極的に取り入れられてきた理由です。 ただし、動的ストレッチにも静的ストレッチに及ばない点があります。 動的ストレッチは今現在保有している可動域をあぶりだすことは得意なのですが、今以上の可動域の可動範囲を開拓してゆく効果は静的ストレッチより弱いのです。 ウォーミングアップやトレーニング中における静的ストレッチと動的ストレッチの使い分けについて 私たちの「身体の硬さ」には二つの種類があります。 ①構造的短縮 ②機能的短縮 「構造的短縮」というのは、炎症後の筋や関節の拘縮のように組織自体が短く固まっている状況を指します。こうした問題へのアプローチには「静的ストレッチ」が適しています。 「機能的短縮」は、使いすぎた筋肉が緊張して縮んでいる状況です。これは筋肉を支配している神経の緊張が高まり、筋肉の力が抜けないために見た目上短くなっている状況です。この機能的短縮へのアプローチには「動的ストレッチ」が適しています。 ウォーミングアップであれば動的ストレッチを実施して機能的短縮を取り除き、動的ストレッチで取り除くことができない構造的短縮は静的ストレッチで対処するようにします。 トレーニング中にも静的ストレッチを活用できるケース トレーニング中の静的ストレッチの活用は、ためらわれる方も多いかもしれませんが、概ね30秒までであればパフォーマンスを邪魔するようなことはないという報告も散見します。 トレーニング中に静的ストレッチを導入するべきタイミングは、動的ストレッチや競技動作を通じたウォーミングアップを終えてもなおフォームが乱れてしまうような時です。 動的ストレッチのように機能的短縮を解除した後に残る問題は、構造的短縮である可能性が極めて高いです。そうした問題が現れた時には、30秒の静的ストレッチを試してみてください。 まとめ 静的ストレッチと動的ストレッチで、よくある間違いと活用ポイントについてご紹介をしましたが、いかがでしたでしょうか。 筋肉をはじめとした各部位への理解を深めることで、より戦略的に、静的・動的ストレッチを使い分けることができるようになるので、ぜひ今回の記事を参考に日常のトレーニングに活用いただけると嬉しいです。 ★目的別:アスリートのためのエルゴジェニックエイド商品 私自身がアスリートとして生涯最高のパフォーマンス、すなわちピークパフォーマンスを成し遂げるための栄養戦略を追求するという想いから商品を開発しています。目的ごとに様々なラインナップを揃えておりますので、以下のボタンからご覧ください。 筋力・パワーアップ 商品一覧 スピードアップ 商品一覧 持久力 商品一覧 体脂肪減 商品一覧

静的ストレッチと動的ストレッチを適切に使い分ける方法

静的ストレッチと動的ストレッチを適切に使い分ける方法

ウォームアップ時やクールダウン時のストレッチは、アスリートのみならず一般のトレーニングにも広く取り入れられています。 ご存知のとおり、ストレッチはウォーミングアップやクールダウンのほか、リハビリテーションや体操、けがの治療など、様々な目的で実施されています。 しかしながら、どんな時にどのようなストレッチをするかによって、身体のメンテナンス効果やパフォーマンス効果が大きく変わってくることはご存知でしょうか?また、ストレッチには様々なやり方が存在しますが、あなたのストレッチはパフォーマンスを向上させるストレッチになっているでしょうか? 今回は、アスリートがパフォーマンスを上げるために知っておくべきストレッチの目的と、効果を最大化させるための理論について詳しく解説していきたいと思います。 著者紹介 阿久津貴史 (公式HP) パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持 NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ 1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。 古川容司 (とよたま手技治療院HP) 筋骨格系治療専門 手技治療院 「とよたま手技治療院」院長 1974年生まれ。2006年より「とよたま手技治療院」開院。神経筋骨格システムに生じた「機能障害」に対してアプローチし、選手・愛好家の別を問わず、アスリートへの競技動作に直結した動作分析・チューニング・手技治療・鍼灸治療をおこない、より高い到達点を極めるための競技パフォーマンス向上に資する確実なサポートを提供している。 ストレッチの種類について まず、ストレッチは大きく分類すると以下の2種類に分けられます。 静的ストレッチ(スタティックストレッチ) 動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ、バリスティックストレッチ) 静的ストレッチは反動をつけずに筋肉をゆっくりと伸張させていき、一定時間保つことで筋肉を伸ばす方法です。対して、動的ストレッチは勢いや反動など動きをつけて筋肉を伸張させる方法です。 では、静的ストレッチと動的ストレッチの効果にどのような違いがあるのでしょうか? 静的ストレッチ(スタティックストレッチ)効果 静的ストレッチは "スタティックストレッチ" とも呼ばれ、20秒~30秒ほど筋肉を伸ばし緊張をやわらげる方法です。 最も安全に行うことのできるストレッチ方法で、時間をかけて筋肉の最大可動域を徐々に広げていくことができ、収縮した筋肉を運動前の状態に戻す、損傷した筋肉の早期回復、疲労物質の除去、といった効果があります。 アスリートにとって身体が堅いことは、筋肉や腱に負荷がかかり怪我をしやすくなってしまうマイナス要素ですが、静的ストレッチを行うことで柔軟性を高め、怪我の予防効果もあることから、より高いパフォーマンスにつなげることができます。 動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ、バリスティックストレッチ)効果 動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)は、伸ばしたい筋(主働筋)と反対の方向に運動する筋(拮抗筋)を 意識的に活動させ、その動作を繰り返すことで、主働筋を弛緩させる方法です。このときに、勢いや反動を使わずに拮抗筋を活動させることがポイントとなります。 分かりやすい動的ストレッチの代表格は「ラジオ体操」です。しなやかにリズミカルな動きで筋肉や関節を使うので、適度な運動量とストレッチ効果が期待できます。 ラジオ体操第1を通して行なった場合、なんと速歩に相当するほどの運動強度になり、座っている状態と比較すると3~4倍ものエネルギーを消費するそうです。このラジオ体操の例でもわかる通り、体温や代謝アップには動的ストレッチが適しているということですね。そのほかだと、コンディショニングチェックの役割としても効果があります。 また、静的ストレッチの動きに勢いや反動をつけて筋を伸張させる「バリスティックストレッチ」という方法も動的ストレッチに分類されます。アキレス腱を伸ばすストレッチに例えると、反動をつけずゆっくり伸ばすのがスタティックストレッチ、反動やリズムをつけて伸ばすのがバリスティックストレッチです。 静的ストレッチと動的ストレッチの整理 ここまで解説した静的ストレッチと動的ストレッチの主な特徴のほか、効果や活用シーンも加えて簡単にまとめると下記のような表となります。 静的ストレッチ 動的ストレッチ 方法 反動をつけない ゆっくり筋肉を伸張させ20秒~30秒程度保持 勢いや反動をつける リズミカルな動きや?発揮を伴う 効果 柔軟性の向上 損傷した筋肉の早期修復 副交感神経の働きを優位にする 疲労物質の除去 収縮した筋肉を運動前の状態に戻す 筋肉の弾性力を高める 身体代謝を上げる 体温を上げる 傷害予防 コンディショニングチェック 活用シーン クールダウン ウォーミングアップ 静的ストレッチは運動後のクールダウンなど、使用した筋肉の疲労を取り除き次のトレーニングに備えるような場面に適しており、動的ストレッチは運用前のウォーミングアップのようにパフォーマンスを高める場面に適しています。 ストレッチの方法はもちろん、目的やシーンによって適切に使い分けることがパフォーマンス向上のカギを握るということですね。 静的ストレッチをトレーニング前に導入する方も多いのではないかと思いますが、各ストレッチの効果を理解すると、トレーニング前に静的ストレッチを行うことは、運動前の身体の準備としてふさわしくないと思うのではないでしょうか。 私自身、トレーニング前の静的ストレッチはお勧めしていないので、その理由について解説していきます。 トレーニング前の静的ストレッチがNGの理由 2020年頃、トレーニング前の静的ストレッチは良くないのでは?という話がブームになりましたね。良くないといわれた理由を分解し、専門的な話も交えて解説していきます。 トレーニング前の静的ストレッチがNGといわれる理由は「筋力を低下させるため」です。 実際に、静的ストレッチを行うとパワー系競技者やスプリンター、ジャンパーのパフォーマンスは落ちます。なぜパフォーマンスが落ちるのでしょうか? それは、パワーやスピードを発揮する際、筋肉の弾性力や、粘性力、関節のあそびの少なさなどが必要となるのですが、静的ストレッチを行い可動域が大きく広がってしまうことで、こういった必要な要素が減少してしまうためです。 前述した動的ストレッチの効果の通り、スピードやパワー発揮をしなければいけないアスリートは、トレーニング前は動的ストレッチをメインにすべきなのです。 静的ストレッチは目的に応じて行う トレーニング前の静的ストレッチは良くない理由について書きましたが、一概に全てのケースで良くないというわけではありません。 場合によっては、トレーニング前に静的ストレッチを取り入れることが良いケースがあります。ここでは、静的ストレッチをトレーニング前に導入する例を2つご紹介します。 ①足首の堅さ改善のため 過度に大胸筋をストレッチすれば、ベンチプレスのパフォーマンスは落ちるでしょうし、過度に大腿四頭筋をストレッチすればスクワットのパフォーマンスは落ちるでしょう。 しかし、例えばベンチプレスにおけるアーチのための静的ストレッチであったり、足首の硬さが原因でスクワットでうまくしゃがめないというようなケースでは、足首の静的ストレッチを取り入れたりすることは悪いことではありません。 足首の硬さ(専門的には足関節の背屈可動域の低下と言う、アキレス腱をストレッチするような姿勢が背屈している状態)は、下半身エクササイズにおいて代償動作を発生させやすく、怪我の大きな原因になります。足首が硬い状態でスクワットを行うと、膝が内側に入る代償動作が増え、結果的に前十字靭帯などを痛める危険性が高まります。 このように、身体の一部の堅さを改善するために静的ストレッチを取り入れることは、トレーニング全体で見たときに有効となります。 ②肩関節の可動域拡大のため 肩関節の硬さはオーバーヘッド系種目の制限要因になります。例えば、フロントプレス(ミリタリープレス、バーベルショルダープレスと言ったりもする)を行う際のフィニッシュポジションは、腕は床に対して垂直になります。この状態は肩関節の屈曲角度が180°という表現をします。*肩関節の屈曲動作とは、運動場などで整列する際、先頭者以外の「気をつけ」をした姿勢から「前にならえ」に腕をあげていく動作のことです。 しかし、標準的な肩の屈曲角度は、平均164-178°程度です。この肩の関節可動域ではフロントプレスを理想的なフォームで行うのは難しいでしょう。 対照的に、オーバーヘッドリフティング(ジャークやスナッチなど)を行うアスリートの肩の屈曲角度は平均202°です。つまり、これほど肩の可動域が出てこないと、オーバーヘッドリフティング系種目において十分なフォーム、パフォーマンスを獲得できないとも言えます。 このように、オーバーヘッド系種目を行う日のトレーニング前に、肩の屈曲角度を出すための静的ストレッチは有効です。 具体的なストレッチ方法は、腕をできるだけあげて肘を曲げ、肘を壁につけて脇を伸ばすストレッチなどです。また、左右の柔軟性が片側の筋肉の拘縮で崩れているような場合は、静的ストレッチで硬い方を緩めてから整えることも必要となりますが、実際にこのようなケースは非常に多いです。 これらの例からもわかる通り、現場で重要なことは静的ストレッチ、動的ストレッチの使い分けです。 静的ストレッチを取り入れた過去の経験談 私は以前、ローバースクワットをする際に扱う重量がどんどん重くなるにつれ、バーのしなりで手が下へ押し付けられることが原因で、胸鎖関節(鎖骨と胸骨がつく関節。喉仏の下のあたり)が引き伸ばされてしまい痛みが生じる、ということを何度か経験しました。 そこで、スクワット前に大胸筋や三角筋前部へ多めの静的ストレッチを取り入れ、この問題を解消したことがありますが、その後に行うベンチプレスのパフォーマンスには全く問題はありませんでした。スクワット前に緩んでいた大胸筋や三角筋前部は、スクワットの試技が3つ終わる頃には弾性力も粘性力もしっかり取り戻されています。 静的・動的ストレッチについて正しく理解ができていれば、静的ストレッチをトレーニング前に導入することで痛みの改善につなげると同時に、パフォーマンスを低下させないことも可能となるのです。 このような私の経験談もご参考いただけると幸いです。 まとめ:静的ストレッチ・動的ストレッチの使い分け 最近では、静的ストレッチも30秒以下であれば問題ないというところに落ち着いてきているようです。30秒では筋出力は低下したが、6秒だけなら筋出力は向上した、ということも報告されています。 一概に「トレーニング前の静的ストレッチは良くない」のではなく、トレーニングと身体の状態に合わせて、静的ストレッチを行うべきか、動的ストレッチを行うべきかを自分で判断できるようになることが重要です。 今回の記事が静的ストレッチの導入方法のヒントになれば嬉しいです。 ★目的別:アスリートのためのエルゴジェニックエイド商品 私自身がアスリートとして生涯最高のパフォーマンス、すなわちピークパフォーマンスを成し遂げるための栄養戦略を追求するという想いから商品を開発しています。目的ごとに様々なラインナップを揃えておりますので、以下のボタンからご覧ください。 筋力・パワーアップ 商品一覧 スピードアップ 商品一覧 持久力 商品一覧 体脂肪減 商品一覧

アスリートなら知っておきたい。フロー理論や入り方について分かりやすく解説。

アスリートなら知っておきたい。フロー理論や入り方について分かりやすく解説。

競技で高いパフォーマンスを発揮するには、集中力をいかにコントロールするかが重要になります。 多くのアスリートが「勝負を左右するタイミングで高い集中力を発揮できるようメンタルをコントロールしたい」と考えており、スポーツ心理学の分野においても広く論じられてきました。 今回は、アスリートのパフォーマンス向上という観点から、特に重要な知っておくべき「フロー理論」について分かりやすく解説してみようと思います。 著者紹介 パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持 NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ 阿久津貴史 (公式HP) 1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。 集中力が基本中の基本 集中力、メンタルどちらにもコントロールという言葉をあえて使っているのは、練習をすることで身体操作が上手になるのと同じように、集中力もメンタルも日頃の習慣、練習で上手にコントロールすることができるようになるからです。 余談ですが、よくメンタルが弱い強いと言った表現を聞きますが、スポーツにおいてメンタルとはコミュニケーション能力のことを指します。自己とのコミュニケーション、他者とのコミュニケーション、この質の高さがメンタルの良し悪しを決定します。 例えば試合中に良くない状況に陥った時にセルフコミュニケーション能力の高い訓練されたアスリートは、今自分に何が起きているのか?何をすればいいのか?といったことを咄嗟に判断できます。ヤバイ、負けてしまう、というような意識に引っ張られることはありません。 フローとは何ぞや?ゾーンとフローの違いとは? 「ゾーン」や「フロー」という言葉は、どちらも課題に集中している精神状態を表す表現として、アスリートだけでなくビジネスマンにも広く浸透してきているように感じます。 「ゾーンに入る」「フロー状態」といった言葉を耳にしたり、中には実際にそのような体験をした人もいるのではないでしょうか? どちらも集中力が高い状態を指し、似たような使い方をされますが、かいつまんで言うと以下の通りになります。 フロー(Flow)とは? 「フロー」とは、目の前の課題に夢中になって取り組んでいる精神状態を指します。1970年代にアメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)が"フロー"という言葉で理論を提唱し、広まりました。 英語でflowとは、流れや流動という意味を指します。フロー状態になると一つの流れに入ったような感覚となり、脳は課題に対する行動以外に意識を向けなくなります。 そのため、時間や自我の感覚も忘れて、物事に没頭している状態になります。時間を忘れて何かに没頭していたことがある人も多いのではないでしょうか?大規模な調査によると約15%程度の人がフロー体験があります。経験のない残り約15%の人も条件を整えることでフロー体験がしやすくなるかもしれません。 なお、フローは、以下の3要素が重なり合ったときに起こりやすくなります [1]。 1:課題の目標が明確であり、課題に取り組んでいる際に即座にフィードバックが得られること。 明確な目標や課題に取り組んでいる際に、それがうまくいっているのか駄目なのか、ただちに分かる環境が必要です。例えばスポーツであれば、パスが通った、ボールをキャッチできた、シュートが入った等、目標に対して成功なのか失敗なのか明確に即座に分かることを指します。 2:個人の能力水準(スキルレベル)と難易度(チャレンジレベル)が高いレベルで釣り合っていること。 能力に対して難易度が高すぎても課題を処理できませんし、難易度が低すぎると持て余してしまいます。この2つのバランスが丁度良い状況の場合にフローが起こりやすくなります。 3:できる限りの力を出すことできる環境であること。 課題に集中して取り組むことができる環境であればあるほど、フロー状態を体験しやすくなります。それぞれの具体例は文末でご紹介しておりますので是非ご覧ください。 ミハイ・チクセントミハイについて フロー理論を提唱したミハイ・チクセントミハイは、ハンガリー外交官の父のもとに1934年、イタリア領フィウメ(現クロアチア リエカ)で生まれました。 彼の少年時代は第2次世界大戦の戦禍にあり、社会の混乱や亡命の経験から、幸せについて深く考えるようになります。 彼が10代のころにスイスの分析心理学者として有名なユングの公演を聞き、それをきっかけに心理学を志すようになります。その後渡米し、シカゴ大学で博士号を取得。人がいつどんなときに幸せを感じるのか研究を進めていきました。 その中で、芸術家や音楽家、科学者やスポーツ選手など、クリエイティブな活動をする人々へのインタビューを行った結果、人は課題に100%集中している時もっともクリエイティブかつ生産的になり、幸福感を感じることを発見しました。この時の精神状態をフローと名づけました。 ゾーンとは? ゾーンについて先駆的研究を行なっているマイケル・マーフィーとレア・A・ホワイトの二人は、ゾーンを自らの動作が超人的に見えてくる心理的スペースと捉えています。 チクセントミハイはゾーンとフローは本質的に同義としていますが、ゾーン体験者にはオーラが見えた、テレパシーを感じたというような心霊的側面が体験要素に含まれることもあり、ゾーンとフローには違った側面もあるといえます。 ゾーン体験をしたアスリートにインタビューすると、「ボールが止まって見えた」「思いついたプレーが全てうまくいった」「ゴールを決めるまでの道筋が完璧に見えた」といったような、感性的体験談を聞くことができます。 そういった意味でゾーンを目指すアスリートは日頃から感性を磨く習慣作りが必要なのかもしれません。 例えばそういった第一歩として身体感覚に集中するためスマホでSNSを見ながらストレッチをするというような注意力、集中力が散漫になるようなことするべきではないでしょう。 大舞台や咄嗟の時というのは習慣、癖が必ず出ます。もしゾーンの境地を体験したいなら日頃から高い意識レベルで活動することが必要でしょう。 また、ゾーン体験者の多くが語る「動きが自動的に、無意識的に行われた」といった無意識化での動きの体験は、ゾーンに入ったからたまたま無意識で動けたのではなく、長年継続的に数え切れないほどの反復練習を積み重ねてきた結果、特定の動きに関する神経が発達したことで無意識化でもできるようになったと考えられます。 感性的体験はフローとゾーンの違いの一つです。フロー状態に入るには、前述したように持っているスキルと挑戦する難易度のバランスが条件の一つですが、ゾーン体験者の中には大怪我を負って危機的状態で試合をしている際にそこにはいない肉親の声が聞こえたというような体験者もいます。こういった致命的な怪我を負っているような場合、持っているスキルとチャレンジのバランスが良かったと言えるかは謎な部分です。 フロー状態の先に究極的にゾーンがあると言っていいのかもしれません。 しかしながら、ゾーンに入ることは非常に稀です。 過去の研究[2]において、72名の現役および元トップアスリートに対し、ゾーンに入った経験回数のアンケート調査を実施したところ、経験なしが全体の約8%、1~2回が約33%、3回以上が約58%という結果になりました。 アスリート人生の中で、ゾーンに入るのは数回となり、それだけゾーンは偶発性が高く、それを意識してコントロールすることは難しいということになります。 ゾーンは「無我の境地」と言われたりもしますが、ゾーンに入ろうとして心が囚われてしまうと、逆にゾーンから遠ざかってしまいます。 ゾーンにできるだけ頻繁に入りたいと思うかもしれませんが、ゾーンに入ろうと固執するよりは、日々フロー状態を作り出せるように練習していくことが重要といえるでしょう。その先にゾーン体験が訪れるかもしれません。 効率よくフローに入るには? 注意と集中が基本 何かしらの精神作用を得るための基本の能力は注意力と集中力です。注意を向ける、それだけに集中し続ける、こういった能力を高めることができるように日々訓練することが鍵となっていくでしょう。 フローに入りやすくなる要件は前述の3要素がバランスよく重なった場合になりますが、これを自分個人の環境に具体化すると良いでしょう。 ここから、前述の3要素を具体化する方法を具体的に説明します。 1:課題の目標が明確であり、課題に取り組んでいる際に即座にフィードバックが得られること。 この要素を成立させるには、目標をシンプルかつ明確化させる必要があります。「試合に勝つ」という大まかな目標ではなく、例えばサッカーなら「○○へのパスを●分以内に繋げる」といったように、制限時間や具体的な行動を設定すると良いでしょう。数値目標・パフォーマンス目標等を明確にすることが必要です。 もちろん、それがうまくいったのか否かが即座に分かる(フィードバックがある)ような目標にするべきです。 シンプルかつ明確な目標であれば、脳は目標の達成以外にメモリを割かなくて済むため、よりフローの状態に持っていきやすくなります。 また感覚的な目標、探求に取り組むことはフローの先のゾーンに入る可能性を高めるために必要なことかもしれません。 例えば、足裏の重心は踵の内側1/4くらいがいい、というような単純なことではなく、その重心をどのような硬さでイメージしてみるか?どんな色で感じてみたらしっくりくるか?といったことにも取り組んでみるといいでしょう。 感覚的な課題に取り組んでいる際、そのフィードバックは即座に得られます。こういった感覚練習の時に時間や周りのことを忘れて没頭していた、なんて経験はアスリートの方は多いのではないでしょうか?それはまさにフロー状態です。 2:個人の能力水準(スキルレベル)と難易度(チャレンジレベル)が高いレベルで釣り合っていること。 上記の目標設定をしたときに、自分の感情の動きを注意して観察します。スキルに対して難易度が高いと不安を感じます。一方で、自分のスキルに対して難易度が低いとチャレンジ感を感じず、退屈に感じるかもしれません。 例を上げるなら最近ベンチプレスで100kgを挙げた人が、次のセッションで120kgに挑戦しようなんてことをすると、そもそも挙がらない可能性の方が高く、不安と緊張が高まるだけです。 しかし102.5kgだったら挙がるかもしれません。個人のスキルより少し高いチャレンジを実施すする、こういった状況では高い集中力が発揮されフローに入る可能性が高くなります。 日々の生活、仕事、練習、あらゆる場面でチャレンジする習慣を取り入れることで一日24時間の中でフロー状態で過ごす時間が長くなるでしょう。やがてその習慣は試合時のゾーン体験にあなたを導いてくれるかもしれません。 3:できる限りの力を出すことできる環境であること。 集中を乱す環境があれば、そういった環境から脱するか、それが出来ない場合は自分でそういった環境をつくるための工夫が必要です。 明確な目標もあり、フィードバックも得られる状況、そしてチャンレンジするスキルを持ち合わせている、にも関わらず3つ目の条件、環境が悪ければ集中して課題に取り組めませんよね。 あくまで一例ですが、例えばチームメイトと不仲な状態が続いているなか一緒に練習するような時、その人の存在が気になって課題に集中して取り組めないかもしれません。このような状況の時にフローに入ることは難しいでしょう。良い練習をするために環境を整えることはとても大切です。 意図的にフロー状態を作り出すことがすぐにできなくても心配する必要はありません。まず日々、生活を振り返り、フロー状態だった時間があったかを把握することからスタートしてみるといいでしょう。 できることならフロー状態だったと気づいた時に、その際に自分にとってどんな条件が揃っていたのか明確にメモをしておきましょう。もちろん日々の練習、試合の際にもしっかり振り返りましょう。この振り返りの蓄積によって、フロー状態に持っていくための自分なりの条件が見つかってくるはずです。 そこまできたらあとは日々の練習、試合の度にウォームアップ、またはウォームアップ前からどのように組み立てていけばいいかがわかるでしょう。 正にこういった作業が自己コミュニケーション能力であり、メンタルが強いと一般的に表現される選手がしていることの一部になります。 最後に 余談ですが、テレビコーマーシャルで宝くじが当たったことを想像している吉岡里帆さんに妻夫木聡さんが「ゾーンに入ったな。」と表現しているシーンを見かけたことがある方も多いかと思います。この状態は「ゾーン」と「妄想」どちらでしょうか(笑)。 参考文献: [1]Nakamura J, Csikszentmihalyi M: The concept of flow. In Snyder, C. R., & Lopez, S. J. (Ed.). Oxford handbook of positive psychology. O [2]山本邦子、佐藤善信 アスリートのゾーン体験  [3]フロー体験入門 楽しみと創造の心理学 ミハイ・チクセントミハイ著 ★目的別:アスリートのためのエルゴジェニックエイド商品 私自身がアスリートとして生涯最高のパフォーマンス、すなわちピークパフォーマンスを成し遂げるための栄養戦略を追求するという想いから商品を開発しています。目的ごとに様々なラインナップを揃えておりますので、以下のボタンからご覧ください。 筋力・パワーアップ 商品一覧 スピードアップ 商品一覧 持久力 商品一覧 体脂肪減 商品一覧