ひと昔前までは、アスリートが摂取するスポーツサプリメントといえばプロテイン一択でしたが、昨今ではBCAAやEAAといったアミノ酸サプリを単体で摂取する事がかなり一般的になってきました。
スポーツ栄養学の世界は日進月歩であるため、広く浸透した一般的な情報と最新の理論のあいだに乖離が出てきます。そのため、効果があると言われて飲んでいるサプリが、最適解ではない場合もあります。
そこで今回は、BCAAやEAAの基本的な知識をおさらいしたうえで、現在のスポーツ栄養学の知見から最適解といえる摂取方法をご紹介したいと思います。
競技パフォーマンスを追求したいアスリートの方や、少ないトレーニング時間でも最大限の効果を望みたいトレーニーの方は是非最後までご覧ください。
著者紹介
パワーリフティング全日本選手権12連覇・現日本記録保持
NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ
阿久津貴史 (公式HP)
1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。
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BCAAとは
まずBCAAとは、Branched Chain Amino Acidsの略で、体の中で生成することができないアミノ酸(必須アミノ酸)に分類されます。体内で生成できないということは、普段の食事やサプリメントを飲んで摂取する必要があるということです。
BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンの3つから形成され、分子構造の骨格が一部分岐していることから分枝鎖アミノ酸または分岐鎖アミノ酸とも呼ばれます。
後述のEAAと異なるのは、BCAAは筋肉のエネルギーとして活用されるという点です。BCAA(分岐鎖アミノ酸)を筋肉を作る目的で摂取するのではなく、運動中のエネルギー枯渇を防止したり、カタボリック(筋合成よりも筋分解が優位になっている状態)を避ける目的で摂取するケースが多いです。
EAAとは
EAAとは、Essential Amino Acidsの略で、BCAAと同じく必須アミノ酸に分類されます。BCAAと異なるのは、アミノ酸の種類です。
EAAはBCAAを含む9種の必須アミノ酸を指す総称ですので、EAAの摂取によりBCAAも摂ることができます。含まれるアミノ酸の種類としては、BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)に加え、(ヒスチジン、リジン(リシン)、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン(トレオニン)、トリプトファン)から成り立っています。
前提として、筋肉を大きくするためには20種類のアミノ酸すべてが必要となりますが、その中の9種類の必須アミノ酸が含まれているため、筋肉を発達させる目的であれば、BCAAよりもEAAを摂取したほうが良いと言えます。
BCAAの摂取は意味がないのか?実際の効果について
「BCAA(分岐鎖アミノ酸)の摂取は意味がないの?効果あるの?」という疑問をいただきます。
その回答として、一概に「全く効果が無い」とは言えないのですが、昨今のようにあらゆる形態のタンパク質サプリメントが出ているなかでは、BCAAはそれほど重要な存在ではなくなっているのです。
中でも、特に多いのは「BCAAは筋肉の合成を高める」という誤解です。この誤解を解くために、「アミノ酸の桶」という理論を紹介しましょう。
まずは、木でできた桶を想像してください。
桶を構成するそれぞれの板をアミノ酸と見なします。板の大きさはアミノ酸の量です。そして、水を溜められる量=筋肉を合成できる量と見なします。
どれか一つの板を高くしても、一番低い板のところから水が漏れてしまいます。水が漏れる=アミノ酸が活用されずに排泄されてしまうということです。
BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)のみを摂取しても、他のアミノ酸をバランスよく摂取しなければ、桶の水が駄々洩れになってしまいます。
また、アミノ酸は窒素を含み、窒素化合物は、腎臓からしか排泄されないため、腎臓に負担がかかります。
つまりBCAAのように少ない種類のアミノ酸を単体で摂取しても筋合成という観点ではほとんど意味がなく、むしろ臓器に負担がかかるというデメリットのみが残ってしまうというわけです。
EAAとBCAAの比較
要は、BCAAとEAAはどちらも必須アミノ酸の総称ですが、含まれるアミノ酸のバリエーションに差があるわけです。
先ほども記述しましたが、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)だけでは筋肉を合成できませんので、BCAAの摂取だけでなくその他のアミノ酸もバランスよく一緒に摂取することが前提になります。
そのため、筋合成という目的で言えばEAAを摂取するほうが効率的であると言えます。特に、含有バランスとしてロイシンの量が40%台であれば、筋肉の合成を高まることが分かっています ※。
そのため、より効率的な筋合成を目的とするなら、単にEAAというだけで選ぶのではなく、各種アミノ酸の含有量をチェックすると良いでしょう。
沢山の練習量をこなすために。吸収速度と同時摂取も考慮する
吸収スピードという観点では、アミノ酸よりも吸収が早い「ペプチド」という形態が存在します。これについて、ご紹介します。
これまでスポーツサプリメント開発に長く携わってきましたが、15年ほど前からアミノ酸の次はペプチドの時代がくると考えていました。まだ広く普及してきたとは言えませんが、実際にそういう流れになってきています。
今後、スポーツの世界では特殊に設計されたペプチドと特定の遊離アミノ酸を組み合わせて飲むことに、さらにシフトしていくと考えています。
吸収の速さならジペプチド・トリペプチド
まだあまり広く知られていないのですが、ジペプチド・トリペプチドは単体のアミノ酸よりも速く吸収されるタンパク質であるため、運動時に最も最適なタンパク質の形状と言われています。
そもそも、1990年代からアミノ酸が流行った理由はホエイプロテインよりも吸収が速いことが理由でした。そしてジペプチド、トリペプチドは、アミノ酸よりもさらに吸収が速いのです。
ジペプチドはアミノ酸が2個連結、トリペプチドはアミノ酸3個連結している構造となっていますが、これらの吸収が速い理由はペプチドトランスポーターと呼ばれる特殊な輸送体に起因します。
まず、アミノ酸を運搬するアミノ酸トランスポーターは1つのトランスポーターで1つのアミノ酸しか運搬できません。
一方で、ペプチドトランスポーターの輸送速度がアミノ酸トランスポーターよりも速いためジペプチド、トリペプチドだけがアミノ酸よりも速く吸収されます。
ペプチドトランスポーターは同時に2倍〜3倍のアミノ酸を運ぶことができるため、アミノ酸よりも生体利用効率が高くなります。また各アミノ酸のようにトランスポーターの取り合いが起きないことも生体利用効率を高める要因になります。
要は、ペプチドには吸収が速く、かつ生体に効率よく取り込まれるという大きなメリットがあるというわけです。
ペプチドとEAAを同時に摂取できるとしたら?
これまで解説してきたEAAと、アミノ酸よりもさらに吸収スピードが早いとされるペプチドを同時に摂取できるとしたらどうでしょう?
ペプチドとEAAを同時摂取することでより多くのアミノ酸を同時に運搬できるというメリットがあります。さらにEAAだけを摂取するよりも吸収の早さや機能性といった部分も期待できます。
タンパク質を少しでも早く吸収させたトレーニング中においては、燃料となる糖質とともにペプチド・EAAを取る事で最大限のパフォーマンスアップが期待できます。
運動時に最適な糖質・ぺプチド・EAAを最適なバランスで同時摂取できれば、それぞれのメリットに大きなシナジーが生じる。その考えを基に生まれたのが「00X’AAA+ALPHA」です。
中〜長時間の激しい練習や試合を遂行する競技者・トレーニー向け専用のエルゴジェニックエイドサプリメントですので、限界までの運動持続時間の延長・リカバリーを主目的とする方は、是非お試しください。
運動時に摂取するサプリメントの最適解とは?
今回は、EAA(必須アミノ酸)やBCAA(分岐鎖アミノ酸)について詳しく解説してきました。BCAAは効果があるのか?意味ある?といった部分もご紹介しましたが、結論BCAAだけの摂取は避け、「アミノ酸の桶」の原理と同じようにバランス良くアミノ酸を摂ることが大切です。
また、アミノ酸よりも吸収スピードが早い成分についても少し解説しましたので、今後サプリメントを活用する際の知識として知っておくと良いでしょう。
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