ウルトラマラソンのエネルギー戦略とサプリメント摂取について

ウルトラマラソンとは、長距離走の一種で、フルマラソンよりもさらに長い距離を走る超長距離競技です。

42.195㎞のフルマラソンと100㎞のウルトラマラソンとでは、同じマラソンでも全く別の競技といわれ、フルマラソンに慣れた選手がウルトラマラソンで苦戦することも珍しくありません。

この競技のパフォーマンスを上げるにあたって特に重要となるのがエネルギー戦略ですが、今回は過去の研究をもとに、ファット・アダプテーションを踏まえたエネルギー摂取や、ダイエタリーサプリメント摂取も視野に入れた栄養戦略について解説しようと思います。

阿久津貴史

著者紹介

パワーリフティング全日本選手権12連覇・現日本記録保持
NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ

阿久津貴史公式HP

1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。

ウルトラマラソンにおけるエネルギー源

まず、あらためて人体のエネルギーシステムについて説明します。

A:ブドウ糖-グリコーゲン

ブドウ糖とグリコーゲンは、人体における主要なエネルギー源です。

ブドウ糖は、血液を通じて体のすべての細胞にエネルギーとして供給されます。ブドウ糖は肝臓や筋肉中にグリコーゲンとして貯蔵されます。人体にとって最も使いやすいエネルギー源ですので、運動時においては素早くエネルギーを提供するために分解される特徴があります。

通常、成人男子では100g前後が肝臓に肝グリコーゲンとして、300g前後が筋肉内グリコーゲンとして貯蔵されています。1gあたり4kcalですので、このエネルギーシステムでは400g×4=1600kcalほどしか賄えません。

100kmのウルトラマラソンを完走する場合、消費するカロリーは約6,000kcalとも7000kcalとも言われますが、ブドウ糖-グリコーゲンから供給されるエネルギー量だけでは到底足りないため、このエネルギーシステムだけでは競技中にエネルギーが枯渇してしまうことになります。

B:脂肪酸-ケトン体

そこで出てくるのが、脂肪酸とケトン体のエネルギーシステムです。

脂肪が酵素によって分解された結果生じた脂肪酸が運動のためのエネルギーとして使われます。また、脂肪をエネルギーに分解するときに出るのがケトン体です。

例えば、体重70kgで体脂肪率15%の場合、脂肪は10.5kgとなり、脂肪1kgを消費するのに必要なカロリーを7200 kcalとすると、総カロリーは75,600kcalと算出されます。100kmのウルトラマラソンを完走するとしても、十分に賄えるエネルギー量です。

レース中に食事を摂るわけにはいかず、また糖質を摂取してもエネルギーとして消費されるまでにはタイムラグがあるため、脂肪酸-ケトン体のエネルギーシステムをできるだけ効率的に利用できるよう体を調整しておくことがパフォーマンス向上につながります。

脂肪酸-ケトン体のエネルギーを最大化させる条件

そこで、こちらの研究と、近年持久系競技で取り入られることが増えた「ファット・アダプテーション」の概念を基に、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムを最大化するための条件について考察します。

FAT ADAPTATION(ファット・アダプテーション)

炭水化物の摂取をできるだけ抑えて、脂肪の摂取を高くすると、体はケトーシス(脂肪を主要なエネルギー源として使用し、ケトン体を生成する状態)に傾きます。

ウルトラマラソンのような長時間のエネルギー供給が重要競技においては、体をこの代謝状態にしておくことが有益であると考えられます。 ケトーシス状態にして脂質代謝を高める身体に調整することを、「FAT ADAPTATION(ファット・アダプテーション)」と呼びます。

また、空腹時における長時間の運動や間欠的断食も、ケトーシスとなった体が脂肪をエネルギーとして使うよう働くため、ファット・アダプテーションを実現するために有効な方法です。

つまり、「糖質制限&脂質摂取」「空腹時の長時間トレーニング」「間欠的断食」の組み合わせによって、ファット・アダプテーションをより効率的に行うことができると言えます。

ただし、ケトーシスに関する過去の多くの研究で指摘されているように、脂質代謝がどれだけ促進されるかは個人によって異なります。 遺伝的要因、生活習慣、トレーニング状況などが影響を与えるため、試行錯誤のうえ一人ひとりに最適な戦略を見つけなければなりません。

例えば、ある選手には高脂肪の食事が効果的である可能性がある一方で、別の選手には適さない場合もあります。 体質的にファット・アダプテーションがどうしても合わない場合もあるので、自分の体のコンディションを見極めながら、最適化を行うようにします。

体質が変わって安定するまでの期間にも個人差があり、スタートしてからケトーシスに傾けるまでに数週間かかる場合があります。またその間、一時的に運動パフォーマンスが低下することが多くあります。さらに、この状態に体が順応してパフォーマンス向上が体感できるまでに1年近くかかる場合もあります。

ファット・アダプテーションを成功させるために

ファット・アダプテーションを目的とした間欠的断食の方法としては、例えば1日2食にするなど一日の食事回数を減らすケースが多いです。

ただしこの場合、主にタンパク質が不足しがちになります。また、他にもビタミンやミネラルなどの重要な栄養素が大きく不足するパターンが多く見られます。

長期的なトレーニングと競技パフォーマンス向上のためには、持続可能な栄養戦略が重要です。短期間の極端な食事変更とするのではなく、長期的な計画のもとにバランスの取れた食事アプローチをとることが望ましいです。

ファット・アダプテーションに必要な条件を理解し、それぞれ個人個人の生活スタイルや状況に合わせて適応させることで、脂肪酸-ケトン体エネルギーシステムを最大化して、長時間のエネルギー需要に応えることが可能となります。

特に、ウルトラマラソンのような超エンデュランス競技の場合、運動持続時間の増加に伴って、マクロ栄養素およびミクロ栄養素の消費も増加します。そのため、単に食事の回数を減らすのではなく、回数を減らしたとしても必要な栄養素が確保できるような最適化を進めることが求められます。

ファット・アダプテーションを成功させるために。ダイエタリーサプリメントの摂取

ファット・アダプテーション時に起こりうる体の変化として、特に気を付けなければいけないのが「カタボリック」です。脂肪や筋肉を分解して、それをエネルギー源として使う(筋肉量が低下してしまう)状態を「カタボリック」、逆に筋肉や脂肪など、体組織が新しく合成される状態を「アナボリック」と呼びます。

ファット・アダプテーション時は、アナボリックよりもカタボリックが上回る状態が長く続くため、筋分解によって競技パフォーマンスが大きく落ちる危険性があります。

そこで提案したいのが、カタボリックを抑えるためのダイエタリーサプリメントの摂取です。中でも、特におすすめしたいのがカゼインプロテインの摂取です。

プロテインというと、多くの人がホエイプロテインを思い浮かべると思いますが、ホエイとカゼインプロテインには同じプロテインでも決定的な違いがあります。

ホエイプロテインは速やかに消化吸収される「速効型プロテイン」として知られています。これはトレーニング後の筋タンパク質合成(MPS)を迅速に促進し、筋肉の回復を早める効果があるとされています。

一方、カゼインプロテインは「遅効型プロテイン」として知られ、消化が遅く、徐々にアミノ酸が血流に放出されます。これにより、長時間にわたるアミノ酸の供給が可能になります。

ファット・アダプテーションは、体が脂肪を主要なエネルギー源として利用するようになるプロセスですが、その間で起こりがちなカタボリックを最小限に抑えるために、カゼインのゆっくりとした消化パターンはまさに有益であると考えられます。

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これによって、ファット・アダプテーション時のタンパク質やビタミン・ミネラル不足はもちろん、遅効型プロテインであるカゼインによってカタボリックを最小限に抑えることが期待できます。

特に、ファット・アダプテーション時のパフォーマンス低下に悩む選手は、是非詳細をご確認ください(詳細は以下のバナーをクリックしてください)。


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講師は2011年〜2023年の間、全日本選手権パワーリフティング105kg級(フルギアカテゴリー)で12連覇を達成したPPN代表 阿久津貴史(2004年〜NSCAストレングス&コンディショニングスペシャリスト)です。

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