今年も来日されたスポーツ栄養学の研究者として世界的に活躍されているラルフ・イエーガー博士にお会いしお話を伺ってきました。メルマガで配信した内容を今回はブログにも掲載致します。
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その中から皆様がご興味のありそうな2点をご紹介させていただきます。
2点目は米国の健康食品市場の最新動向です
クレアルカリンはモノハイドレートより優れた形態なのか?
クレアチン製品を選ぶ際によく議論されるクレアルカリンはクレアチンモノハイドレートより優れているのか?問題。結論からお伝えしますと、クレアカリンがクレアチンモノハイドレートより優れているとする国際誌に投稿されて承認されている論文はありません。
クレアルカリンとクレアチンモノハイドレートを直接比較した2012年の研究(1)と2022年に出されたクリティカルレビュー(2)において、クレアルカリンがクレアチンモノハイドレートより優れていることを支持するデータはありません。こういった結果を踏まえてか米国ではクレアルカリンを使用する大手スポーツニュートリションメーカーは現在はほとんどないそうです。どの原料も同じことなのですが、原料メーカーが出したデータがしっかり査読付き論文としてジャーナルに掲載されているのか?という点を原料を採択するサプリメントメーカーとしては徹底したいと改めて感じました。クレアルカリン原料を製造している米国のメーカーさんがweb上で公開されている研究データは残念ながら国際誌で承認された論文ではありません。
参考文献
(1)A.R. Jagim et al.:A buffered form of creatine does not promote greater changes in muscle creatine content, body composition, or training adaptations than creatine monohydrate. J Int Soc Sports Nutr. 2012.
(2)R.B. Kreider et al.:Bioavailability, Efficacy, Safety, and Regulatory Status of Creatine and Related Compounds: A Critical Review. Nutrients. 2022.
クレアチン大幅続伸
クレアチン市場は前年比でさらに39%増という驚異的な伸びだったそうです。この数字は米国のようにすでにクレアチン市場が飽和したと思われている米国だからこそ余計にインパクトを感じます。成長を後押ししているのは10代から30代、そして女性の利用者の増加だそうです。
プレワークアウトサプリ前年比1%の伸びでとどまる。
プレワークアウトサプリは成長が止まり前年比1%のみだったようです。アメリカではカフェインに対して消費者が距離を取り始めてます。ワークアウト前にカフェインを多量に含んだプレワークアウトサプリを摂取をすることにより、睡眠の質が落ちることが大きな要因のようです。カフェインの代謝時間は個人差がとてもあり、日中に飲んでも夜まで影響する人もいます。ワークアウトには効果があっても睡眠の質・睡眠の時間に悪影響を及ぼしてしまうと結果的に中・長期的にはフィジカルやパフォーマンスの向上を阻害してしまう、という理解が消費者にも浸透してきた結果と言えるのかもしれません。このような背景により現在はカフェインと同じように集中力を発揮しつつ、興奮しない原料を探し求めることへ消費者の関心は高まっているそうです。
最後になりますが、皆さまはBLUE ZONESという言葉をご存知でしょうか?私は初耳でした。
BLUE ZONESとは、世界で特に寿命が長く、健康で活発な高齢者が多く住んでいる地域のことを言うそうです。これらの地域では、平均寿命が高いだけでなく、百歳以上の人々が多く、健康的に年を重ねる傾向が見られています。
・BLUE ZONEの人々はどのような生活をしているのか?
・BLUE ZONEの人々はどのような食生活をしているのか?
こういったことを分析し健康食品として長寿をサポートすることができないか?という動きがアメリカでは加速しているそうです。おとぎ話のように最後にヒトは不老不死を夢見るものなのかもしれません。
9月も引き続き何卒よろしくお願い致します。
阿久津貴史