先日2025スポーツ視覚研究会がオンラインで開催されましたので,今年も参加をさせていただきました。
今年はフェンシングオリンピック金メダリストの眼球運動の計測結果とインタビュー映像まで見させていただき非常に勉強になる時間でした。
結果は驚きでした。
実験ではアイトラッカーを装着し,対戦中に選手たちの視点がどこに位置しているのかをさまざまな状況下で解析していました。視点位置のヒートマップ映像を拝見したのですが,金メダリストは驚くほど視点範囲が動かず,ほとんど一点で安定していました。対照的に,中級者や初級者は素人の私でもわかるほど動いていました。
もともと私はフェンシングの選手は多くの部位を見て情報収集しているのだと思っていたのですが,実際はまったく逆でした。あの高速で動く攻防の中で,視点をぶらさずに保ち続けられるのは本当にすごい能力だと思います。中級選手(といっても大学レベルの競技者)のヒートマップと比較したときの違いにも驚かされ,「うわっ,こんなに違うの?すごいな…」と一人で笑ってしまいそうでした。
実験に参加された金メダリストのインタビュー映像も見させていただけたのですが,印象に残るお話ばかりだったので,その中からいくつか特に気になったものをご紹介させていただきます。*一言一句正確にメモできていないのであくまで私のメモというご理解で見ていただければ幸いです。
「胸あたりをみながら周辺視野で状況把握(でも剣先はわかる)」
「視線が動くと無駄な情報が増えて反応が遅れる。」
「空間を見るイメージは俯瞰してみている感じで,一人称視点でなく,斜めから自分を見ているようなイメージ(三人称視点)。自分が戦っている姿を応援席からみたこともある。」
「視線が動くと無駄な情報が増えて反応が遅れる。」
「空間を見るイメージは俯瞰してみている感じで,
最後の内容も興味深いお話ですよね。
個人的にこういったエリート選手の目には見えない違いの研究は本当に大事だなと思います。どう見るか?というようなことも初心者の時から根拠ありきの指導を受ければ間違った学習をしないで伸ばしていくことができるかもしれません。こういったことはまさにサイエンスが担う部分であり,まだまだ多くの競技でこれから発展していく分野だと思います。
私がさせていただいているスクワット研究もエリート対象研究でして,エリート選手はスクワット中に身体とバーベルを合成した合成重心の制御能力が高いという仮説で進めています。この合成重心というものも目には見えない部分です。しかし高重量を挙上する姿勢制御には非常に重要な要素であり,将来的には現場ですぐに可視化して選手にフィードバックできるようにできれば競技力アップにつながるなぁという想いも抱いている次第です。
また面白い情報に出会えましたら共有いたします。
阿久津貴史