競技パフォーマンスを上げていく上で、日々のトレーニングは欠かすことができないものですが、負担が大きくなると関節に痛みや障害が生じる可能性が出てきます。
症状が軽いうちは、競技やトレーニング中に軽度の痛みや違和感を感じる程度ですが、十分なケアをせずに体への負荷を繰り返していると、徐々に症状は進行していきます。 プレー中は支障がなくても後で痛むようになってくるようになり、そのまま放っておくと痛みや違和感が大きくなっていきます。
さらに症状が進むと、痛みが慢性化することによってトレーニングやプレーに集中できなくなったり、競技パフォーマンスが大きく低下します。
それを防ぐためには、重症化させないための入念なケアと、必要な栄養の摂取が重要になります。練習量が多いアスリートほど、筋肉だけでなく、関節にも十分なケアと必要な栄養素を与える必要があるのです。
昨今、筋肉の合成に関しては高い知識をもつ選手が増えてきているものの、関節のケアに関してはまだまだ必要な知識が普及していないように感じられます。
そこで今回は、アスリートに必要な関節ケアのためのサプリメント摂取と、私自身が試して効果の高かった「非変性II型コラーゲンUC-Ⅱ®」について紹介したいと思います。
著者紹介
パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持
NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ
阿久津貴史 (公式HP)
1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。
関節の痛みはスポーツ障害につながる恐れも
競技のハイパフォーマンスを追及するためには、練習内容をより高いレベルに移行していく過程が必ずあります。しかしながら、その局面で多くのアスリート達が、「痛み」によって結局元のレベルに戻したり中断せざるを得なかった経験をもっています。
症状が重篤なケースでは、長期間休止期間を設けたとしても症状が改善せず、パフォーマンスが発症前のレベルまで戻らない場合もあります。
それを防ぐための予防的な措置として、日々の適切なウォームアップとリカバリーといった物理的な身体ケアに加え、関節の炎症や修復を促す栄養を摂取することをお勧めしています。
痛みの原因と代表的なスポーツ障害
まず、スポーツ時の関節の痛みは何故起こるのでしょうか? トレーニング・競技中の関節の痛みは、運動時の動作によって関節に繰り返し負荷が加わり、炎症が発生することで起こります。
さらに、度重なる負荷によって軟骨が摩耗していくと、スポーツ障害に至る場合もあります。 軟骨の摩耗・損傷に関連するスポーツ障害として代表的なものは、以下のようなものがあります。
離断性骨軟骨炎
関節は、軟骨が存在していることでスムーズな動きを実現しています。しかし、スポーツなどで同じ動作を長い期間繰り返すと、軟骨が関節内ではがれ落ちてしまいます。この状態を離断性骨軟骨炎と呼びます。
離断性骨軟骨炎は、野球やバスケットボールなど球技と関連したスポーツ障害の一環として発症することが多いです。
代表的な離断性骨軟骨炎として、野球肘が知られています。
変形性膝関節症
膝の中でクッションの役割を果たす軟骨が徐々にすり減り、膝の骨同士がぶつかることで欠損やひび割れを誘発、また破片が関節内の組織を傷つけることで痛みや腫れ・変形が出る症状です。
膝に強い負荷がかかるような競技をしている人、日頃から強度の高い運動をしている人、ウェイトトレーニング等で膝に強い負荷をかけ続けている人の場合は、膝への負担が大きくなるので「変形性膝関節症」を発症しやすくなります。
上記のようなスポーツ障害まで発展すると、運動の休止だけでなく、注射や内服による薬物療法、装具治療などが実施され、さらに症状が強い場合は手術を行うケースもあります。
関節の痛みや障害をサプリメントで抑制することができるのか?
上記のような重篤な症状にならないためには、日ごろから予防的に関節の炎症や痛みを軽減するよう努め、関節軟骨の修復・再生機能を促進させる必要があります。
しかしながら、関節軟骨はひとたび傷むと、自己修復能力に乏しく、再生しにくいという見解が現在は有力です。
消費者に広く認知されている関節ケアとして、カルシウムを沢山摂取するというものがあります。他にも、グルコサミン、コンドロイチンといった軟骨に含まれる成分を摂取することで関節の痛みや軟骨が修復されるような訴求をしている商品が見受けられます。
一見、関節に効果がありそうに見えてしまうのですが、髪の毛の成分を飲んだからといって髪が生えないのと同じで、軟骨の成分を多く摂取したからといって軟骨の再生に直接寄与することはありません。
何故なら、軟骨の成分を経口摂取してもそのままの形では体内で吸収されず、アミノ酸に分解されたのちに吸収されるからです。そのため、単に軟骨に含まれる成分を補う目的のサプリメントのみを摂取しても、効果は現れにくいといえます。
では、どのサプリメントも意味が無いかというと、そうではありません。その点について、次の項目から解説いたします。
トップアスリートも使用する関節サプリメント、UC-Ⅱ®(非変性Ⅱ型コラーゲン)について
私自身、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸といった関節の三大素材から流行素材まであらゆる物を試し続けてきましたが、その中で確信的な手ごたえを感じた素材が「UC-Ⅱ®」です。
UC-Ⅱ®の独自の作用
UC-Ⅱ®は、「経口免疫寛容」という独自のメカニズムで関節の炎症を抑制し、軟骨の修復を促進します。この機序については、Lonza社のホームページに詳しく記載されているのですが、ここでは簡単にその特徴について説明します。
コラーゲンについて:Ⅰ型コラーゲンとⅡ型コラーゲンの違い
コラーゲンは皮膚・骨・関節軟骨に多く分布しており、その他に靭帯、腱、骨、 血管など全身に広く分布しています。
コラーゲンには多くの種類があり、生体内での分布や性質によってⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型…といったように20種類以上にも分類されていいます。
一般的にコラーゲン素材というと、化粧品や美容健康食品などに利用されているⅠ型 コラーゲンのことを指します。
一方で、関節軟骨に多く分布するコラーゲンはⅡ型コラーゲンであり、関節炎の発症に深く関与しています。 Ⅱ型コラーゲンは関節の柔軟性や支えの役割を果たしていますが、スポーツ時の負荷や加齢などによって摩耗・減少し、その結果として関節炎を発症することが知られています。
UC-Ⅱ®の主成分は、この「Ⅱ型コラーゲン」です。
「非変性」Ⅱ型コラーゲンと「変性」Ⅱ型コラーゲンの違い
コラーゲンは、タンパク質の中で唯一、「三重らせん構造」という構造をしています。この構造は、3本のひもが三つ編み状に絡まり、1本のロープのようになったもので、コラーゲン特有の強い弾力や伸縮性の元になっています。 この三重らせん構造は「熱に弱い」という性質を併せ持っています。
コラーゲンの種類にもよりますが、40℃以上の熱を加えると、らせん構造が崩れ、ゼラチンへと変化(変性)してしまうのです。また、コラーゲンを特殊な酵素などにより加水分解すると、ゼラチンより細かい、コラーゲンペプチドなどの加水分解コラーゲンになります。 このように熱や消化酵素などでコラーゲンの三重らせん構造が崩れたものを、「変性」コラーゲンと呼びます。現在、多くのサプリメントに用いられているのは、高熱処理(100℃以上)や化学処理(酵素処理)によって構造が破壊された「変性」コラーゲンです。
一方で、UC-Ⅱ®の「Ⅱ型コラーゲン」は「非変性」のコラーゲンです。この「非変性」とは、コラーゲンの構造が「体内にある状態のまま損なわれていない」ことを意味します。胃酸などで分解されずに小腸まで届くため、「経口免疫寛容(けいこうめんえきかんよう)」が期待できます。
経口免疫寛容とは?
「経口免疫寛容」とは、もともと体内に存在する成分と同じものは攻撃しないという免疫システムの不応答性(抗原として認識せず免疫反応が起こらない)を指します。
痛みの原因となる炎症は、損傷や感染に対する免疫反応によって引き起こされる現象ですが、経口免疫寛容によって元となる過剰な免疫反応を抑制すれば、炎症は改善するという機序になります。
さらに、UC-Ⅱ®の吸収に伴って体内で産生される「抗炎症性サイトカイン」は、関節軟骨の修復や再生を促進する働きがあることが分かってきています。
上記の通りUC-Ⅱ®は、従来の「関節を構成する栄養素や不足する栄養素を補給する」というものではなく、独自の作用機序によって効果的なケアが期待できるものであり、関節の痛みが気になるアスリートにも特におすすめできる成分であるといえます。
まとめ
長くなってしまいましたが、アスリートの関節サプリメントとしてお勧めできるのは「UC-Ⅱ®(非変性Ⅱ型コラーゲン)」であり、その要点は以下のとおりとなります。
なお、PPNでは、UC-Ⅱ®︎の配合量強化に加え、よりアスリートを強くサポートするための補助素材も配合した関節サプリメントをご用意しております。
詳細はこちらでご覧いただけますので、「ケガによる悩みを払拭したい、より長く現役生活を続けたい。」そんなアスリートは是非チェックしてみてください。