PPN Research Pick|最新メタ解析から読み解くクレアチンの効果 

PPN Research Pick|最新メタ解析から読み解くクレアチンの効果 

PPN RESEARCH PICK

最新メタ解析から読み解く
クレアチンの効果

Nutrition | Creatine | 2026

クレアチンは、スポーツサプリメントの中でも特に多くの研究が行われてきた成分のひとつです。

では、現在までに蓄積された研究をまとめて評価すると、クレアチンには実際にどの程度の効果が期待できるのでしょうか。

今回の「PPN Research Pick」では、2026年9月に Journal of the International Society of Sports Nutrition に発表された最新のメタ解析を紹介します。

THIS MONTH'S PAPER
Resistance training combined with creatine supplementation: a three-level meta-analysis of multidimensional outcomes from strength enhancement to body composition remodeling
Wang H, Wang H, Xin X, Yi Z. (2026)

本研究では、レジスタンストレーニングとクレアチン摂取を組み合わせることで、 筋力や身体組成にどのような影響が生じるのかが包括的に検討されています。

なぜこの論文に注目したのか

今回の研究で注目したいのが、「3レベル・メタ解析」という統計手法が用いられている点です。

メタ解析とは、ひとつの実験結果だけを見るのではなく、 これまでに行われた複数の研究結果を統合して評価する研究手法です。

今回採用された3レベル・メタ解析では、 さらに同じ研究の中で測定された複数の結果の関係まで考慮して解析することができます。

細かな統計学的説明は割愛しますが、 これまで蓄積されてきた多くの研究結果を、より適切に統合するための高度な解析方法 と考えるとわかりやすいでしょう。

63
STUDIES
1,489
PARTICIPANTS
3-LEVEL
META-ANALYSIS

今回の研究では最終的に63研究、1,489名のデータが解析対象となりました。 また、対象となった研究ではすべてクレアチンモノハイドレートが使用されています。

クレアチンを摂取すると筋力は高まるのか?

今回の研究では、 「レジスタンストレーニングのみ」と 「レジスタンストレーニング+クレアチン」 が比較されています。

その結果、クレアチンを摂取したグループでは、 上半身筋力・下半身筋力の両方で有意な向上が認められました。

KEY FINDING
レジスタンストレーニングに
クレアチンを組み合わせることで、
筋力向上に追加的な効果が認められた。

つまり、単にトレーニングを行うだけでなく、 クレアチンを組み合わせることで、筋力向上をさらに後押しできることが、 これまでの研究を統合した結果からも示されました。

筋肉量・体脂肪にはどう影響したのか?

身体組成についても興味深い結果が得られています。

除脂肪量 ↑ 有意に増加
体重   ↑ わずかに増加
体脂肪率 ↓ わずかに低下
脂肪量   有意な変化なし

特に重要なのは、 体重が増えている一方で、脂肪量は有意に増えていないことです。

研究者らは、今回認められた体重増加について、 主として除脂肪体重の増加によるものと解釈しています。

POINT
「クレアチンで体重が増える」
=「体脂肪が増える」ではない。

むしろ、除脂肪量の増加によって体重がわずかに増加し、 その結果として体脂肪率はわずかに低下しました。

そもそも、なぜクレアチンで筋力が高まるのか?

今回の論文では、クレアチンの作用機序についても整理されています。

体内に存在するクレアチンの約95%は骨格筋に貯蔵されており、 そのうち約3分の2はホスホクレアチン(PCr)として存在しています。

高強度の運動では、筋収縮のためのエネルギー源であるATPが急速に消費されます。 そこで重要になるのがホスホクレアチンです。

クレアチン摂取
↓
筋内ホスホクレアチン貯蔵量 ↑
↓
高強度運動中のATP再合成をサポート
↓
高いパワーを維持しやすくなる
↓
より多くの反復・トレーニング量
↓
筋力・筋肥大への適応をサポート

つまり、クレアチンは「飲むだけで筋肉を増やす」というより、 高強度トレーニングを繰り返すためのエネルギー供給を支え、 その結果としてトレーニングによる適応を高めていく と考えるとわかりやすいでしょう。

さらに今回の論文では、クレアチンによる細胞水和作用や、 IGF-1、サテライト細胞など筋の適応に関係する同化シグナルへの作用についても紹介されています。

エネルギー供給だけではなく、 複数の経路を通じて筋の適応を支えている可能性があります。

クレアチンは大量に摂らなければ意味がないのか?

今回の研究でもうひとつ興味深いのが、クレアチンの摂取方法です。

研究者らは、1日の摂取量、固定量か体重に応じた摂取量か、 ローディングを行うか、ローディング後に維持摂取するか、 維持摂取のみか、といった条件についても解析しています。

しかし、これらの 介入プロトコルによって効果が有意に変わるという結果は得られませんでした。

3~5g/日は、一般的な
「維持摂取量」として扱われています。

したがって、この研究から「3gが唯一の最適量」と結論づけることはできません。

一方で、筋力や身体組成への効果を得るために、 必ずしも高用量を摂取したり、ローディングを行ったりしなければならないという結果でもありませんでした。

これは、クレアチンを一時的に大量摂取するのではなく、 適切な量を毎日継続して摂取する という考え方とも整合する結果です。

AKUTSU'S VOICE
RESEARCH × PRACTICE
Takahito Akutsu
Takahito Akutsu
PPN

私がクレアチンを重要視する理由

クレアチンは「摂れば急に強くなる」というものではありません。 私が重要だと考えているのは、日々のトレーニングの質を支え、 その積み重ねによって長期的な適応につなげることです。

今回の研究でも、レジスタンストレーニングにクレアチンを組み合わせることで、 筋力や除脂肪量に追加的な効果が改めて認められました。

私は、筋力やパワー、高強度運動を必要とするアスリートにとって、 クレアチンは 優先順位の高い成分のひとつ だと考えています。

また、今回の解析では、摂取量やローディングの有無などの違いによって、 効果が有意に変わるという結果は得られませんでした。

PPNでは、クレアチンを短期間だけ大量に摂取するのではなく、 日々のトレーニングを支えるために 1日3gを継続して摂取する という設計を採用しています。 今回の研究結果も、こうした継続摂取の考え方と矛盾するものではありません。

ちなみに私は、学生時代から通算約25年、 クレアチンをほとんど毎日飲み続けています。

トレーニングそのものを変えること。
栄養を整えること。
科学的根拠のある成分を継続して取り入れること。

日々の小さな積み重ねが、長期的なパフォーマンスの差につながっていきます。

PPNではこれからも、最新の研究を確認しながら、 アスリートのパフォーマンス向上に本当に必要な栄養について考え続けていきます。

REFERENCE
Hai Wang, Hao Wang, Xianyang Xin & Zheng Yi (2026) Resistance training combined with creatine supplementation: a three-level meta-analysis of multidimensional outcomes from strength enhancement to body composition remodeling, Journal of the International Society of Sports Nutrition, 23:sup1, 2718316, DOI: 10.1080/15502783.2026.2718316
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