クレアチンの摂取とドーピング検査について

クレアチンに期待される効果と言えば、「瞬発力」「最大筋力」「パワー」といった短時間のパフォーマンスアップです。プロテインやBCAAに次いで人気のあるスポーツサプリメントになりますが、アンチドーピングの観点でクレアチン摂取に疑問を持つアスリートも少なくないのではないでしょうか。

今回はクレアチンの種類や特徴と、アンチドーピング観点からの注意すべき点を説明したいと思います。

阿久津貴史

著者紹介

パワーリフティング全日本選手権11連覇・現日本記録保持
NSCA-CSCS・NSCA-CPT/認定スポーツメンタルコーチ

阿久津貴史公式HP

1982年生まれ。パワーリフティングの競技者として活動するとともに、パワーリフティング専門ジム「TXP」を運営。後進育成・コーチングも精力的に行っており、全日本優勝者を多数輩出。アスリートのパフォーマンス向上を目的とした、理想的なエルゴジェニックエイドの開発にも日々尽力している。

そもそもクレアチンとは?

クレアチンはおもに骨格筋に蓄えられ、運動時のエネルギー源となるクレアチンリン酸(ホスホクレアチン)の構成成分です。体内のアミノ酸をもとに肝臓や腎臓でクレアチンが生成され、そのクレアチン分子がリン酸化することでホスホクレアチンが作られます。

まず、このクレアチンが運動時のエネルギー源として使われる仕組みを説明します。

筋収縮が起こる場合、直接的にはアデノシン三リン酸(ATP)がエネルギー源となります。このATPがリン酸を遊離してADP(アデノシン2リン酸)に変化し、この時生み出されるエネルギーを利用して筋肉が収縮するという仕組みです。

しかしながら、ATPが筋肉中に貯蔵される量はわずかであるため、例えば短距離走といった高負荷の運動ではすぐに枯渇してしまいます。そこで体内のホスホクレアチンが分解してADPにリン酸基を引き渡し、急速にATPが再合成されます。

激しい運動が繰り返されると、ホスホクレアチンの需要が供給を上回り、パフォーマンスが制限されてしまいます。体重70kgの若年男性であれば、120~140グラムのクレアチン貯蔵量があるといわれますが*2、クレアチン摂取によって、筋肉内のクレアチン貯蔵量を増やしておけば、運動時にホスホクレアチンが形成される速度が上がり、全体的なパフォーマンス向上が期待できるというわけです。

クレアチンは鶏肉、豚肉、牛肉、マグロやサーモンといった食品からも摂取できますが、一般的な量の食事ではわずか数グラムしか摂取できないため、サプリメントで摂取するのが効率的といえます。

そのため、短時間の高負荷運動や高速運動を反復するアスリートが、後半セットでも十分なパフォーマンスを発揮するためにクレアチンサプリメントを摂取します。クレアチン補給を短期間実施した実験では、体内のクレアチン貯蔵量を10~30%増加させ、その結果ホスホクレアチンが10~40%増加したことが報告されています*4。

また、認知機能に対する回復効果も示唆されているため*3、認知機能とパフォーマンスが直結するe-sportsや競技カルタなどの頭脳系選手にも使用され始めています。 

クレアチンサプリメントの形態と、選ぶ際のポイント

クレアチンサプリメントの原料形態には、おもに「モノハイドレート」「ハイドロクロライド(HCL)」「バッファード(クレアルカリン)」「エチルエステル」があります。

クレアチン・モノハイドレート

過去にも多くの臨床試験や研究があり、最も広く使用されているクレアチンの形態です。一つの水分子とクレアチンが結合した構造で、安全性も広く認識されています。

クレアチン・モノハイドレートのサプリメントを選ぶ際のポイントとして良く知られるのは、原料として『Creapure(クレピュア)』を使っているかどうかです。

安価なクレアチン・モノハイドレートには、製造の際にジシアンジアミド(DCD)、ジヒドロトリアジン(DHT)といった不純物が含まれている場合があります。しかしながら、クレピュアは純度99.9%以上という現在流通しているクレアチン・モノハイドレートで最も純度も高く、安全性の非常に高い原料であることが特徴です。

またケルンリストに掲載されていることからも、アンチドーピングが必須のアスリートでも信頼して摂取できる原料といえます。

ケルンリストとは:ドイツ ドーピング予防研究センターによって検査された製品のうち、ドーピングのリスクが非常に低い商品をリストとして公開しています。 2006 年以降、ケルンリストに掲載されている製品によるドーピング陽性の事例は無いと公表されており、世界中のサプリメント製造メーカーからも高い信頼を得ています。

▶参考記事:アンチ・ドーピング認証プログラムと検査機関について

ハイドロクロライド(HCL)

水溶性や吸収率を高めるためにエチルエステル塩酸とクレアチンを結合させたもので、胃酸と反応して通常のクレアチンに戻る特徴があります。

クレアチンには筋肉に水分を溜め込む働きがあり、摂取によってむくみや除脂肪体重が増える場合がありますが、HCLは水溶性が高くモノハイドレートほど筋肉細胞に水分を保持しないとされます。

そのため、クレアチン モノハイドレートよりも利点があるとして、HCLを使用した商品も販売されていますが、前述のモノハイドレートよりも研究数が非常に少なく、モノハイドレートよりも明らかに優位であるというデータは出てきていません。

クレアチン摂取によるむくみや胃の膨張感、体重増加が余程気になる場合はHCLを選択肢に入れるのも良いかもしれませんが、現時点では第一選択とする理由は無いように思われます。

また、米国アンチ・ドーピング機構(US Anti-Doping Agency:USADA)のリストに、禁止物質であるDMAAが含まれているHCL商品がピックアップされており、海外製を選ぶ際には特によく確認しておく必要があります。

バッファードクレアチン(クレアルカリン)

炭酸水素塩など弱アルカリ性成分を含むクレアチンの一種です。弱アルカリ性成分によって、胃酸によるクレアチンの分解を減らし、筋肉へのクレアチンの取り込みを改善できるとされます。

ただ、こちらも優位性を示す研究データは少なく、モノハイドレートのほうが筋肉中のクレアチン含有量が増えたという研究結果もあり*5、あえてバッファードクレアチンを選ぶ理由はないように思われます。

クレアチンエチルエステル(CEE)

クレアチン分子を硝酸塩分子に結合させることにより、少量でもモノハイドレートと同等の効果があるとされます。 しかしながら、CEEもモノハイドレートと比べると研究数は非常に少なく、その優位性を示すデータはまだ多くありません。

過去の研究では、モノハイドレートが完全に体内に吸収される一方で、CEEは消化管でクレアチニンに分解されることが示されています(クレアチニンはクレアチンと違って代謝最終産物であり、エネルギー産出効果はありません)。

また、CEEとモノハイドレートとパフォーマンスを比較した際にも有意差は見られていません*6。 これらを鑑みると、研究データの豊富さや実績・安全性の観点からも、現状はクレアチン・モノハイドレートが第一選択となるでしょう。

クレアチンとドーピング検査について

そもそも、クレアチンは体内にも自然に存在する物質であるため、世界反ドーピング機関(WADA)の禁止物質にも含まれていません。

しかしながら、アスリートがクレアチンをサプリメントで摂取する場合、商品の選択に注意が必要です。何故なら、成分表に含まれていなくても、製造工程における残留成分などによって本来入るべきでない成分が混入してしまうことは決して珍しいことではないからです。

たとえアンチドーピング認証を受けている商品だったとしても、多くは市販後の抜き取り調査(インフォームドチョイス)を採用しており、禁止物質を含んだ商品を口にしてしまう可能性はゼロではないのです。

過去にも、国内大手ブランドが販売するアンチドーピング認証取得途中の商品から、WADAが禁止物質に指定する成分が検出されたことがあります。

クレアチンサプリメントにおいても、過去に成分表に表記されていない禁止物質が混入していたためにアンチ・ドーピング規則違反となった事例が報告されています。

そのため「クレアチンサプリメントはドーピング規則違反となるリスクが高い」と思っている人もいますが、実際はクレアチンのサプリメント摂取が危険なのではなく、根拠のない安全性を謳うサプリメントを選択することが危険なのです。

すでにクレアチンサプリメントを導入している人も、検討中の人も、今一度その商品のアンチドーピング対策について確認し、根拠のある商品を選ぶことが重要です。


PPNのサプリメント管理体制について
certification

サプリメント摂取によるアンチドーピング規則違反からアスリートを守る唯一の方法、それは、全製品の、全ロットを、市場に流通させる前に検査を実施することです。

市場に流通させながら全ロット検査を実施しているメーカーはいくつかありますが、アスリートのドーピング陽性リスクを極力排除するためには、全ロット検査でも十分ではないと考えています。

そのため、PPNでは全製品・全ロットに対して、市場に流通させる前に検査を実施するだけでなく、「結果を確認するまで出荷しない」という管理体制を取っています。

この体制を取っているメーカーは世界で唯一弊社しかありません。アスリートにとって栄養摂取は投資であり、ドーピング検査の徹底は保険です。PPNでは「体感」と「安全性」を実現できる製品開発に尽力しています。

詳しくはこちら>>

参考文献 1:Analysis of the efficacy, safety, and regulatory status of novel forms of creatine、2:Creatine supplementation with specific view to exercise/sports performance: an update、3:Effects of creatine supplementation on cognitive function of healthy individuals: A systematic review of randomized controlled trials、4:Effects of creatine supplementation on performance and training adaptations、5:A buffered form of creatine does not promote greater changes in muscle creatine content, body composition, or training adaptations than creatine monohydrate、6:Acute and chronic safety and efficacy of dose dependent creatine nitrate supplementation and exercise performance


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