ジュニアアスリートにサプリメントは必要?選び方のポイントも紹介

ジュニアアスリートは、成人のアスリートよりもカロリーや栄養素を多く必要とするため、パフォーマンスの向上には保護者による食事管理が欠かせません。また、サプリメントの摂取に関しても保護者の考え方が反映することが多く、選び方や摂取方法によってはジュニアアスリートの成長に悪影響を及ぼすこともあります。

そのため、保護者がサプリメントに対する正しい知識を持つ必要があるでしょう。本記事では、ジュニアアスリートにサプリメントが必要かどうか、またサプリメントを選ぶ際におさえておきたいポイントについて詳しく解説します。

阿久津貴史

著者紹介

株式会社ピークパフォーマンスニュートリション(PPN)
代表取締役 阿久津貴史 (公式HP

元パワーリフティング選手(2023年11月の世界選手権を最後に引退)
2010年〜2023年105kg級日本代表(2021〜2023年団長)
2012〜2023年全日本選手権12連覇
パワーリフティングジム TXP代表
NSCA-CPT(2001年取得)
NSCAストレングス&コンディショニングスペシャリスト(2004年取得)
公認スポーツメンタルコーチ

 
*現在プライベートでは東京都立大学大学院 人間健康科学研究科において知覚運動制御研究の第一人者の樋口貴広教授の元で研究生活をスタート中。

アスリートがサプリメントを摂る目的

成人のアスリートの多くは、トレーニングの効果をより高めたり、パフォーマンスの向上を計ったりするうえでサプリメントを利用します。さまざまなサプリメントがありますが、本来サプリメントは不足しがちな栄養素を補給する、トレーニングや運動の効果を最大限に高めるなどの目的に使用するのが一般的です。

たとえば、食事から必要な量を摂取しようとすると膨大になってしまう栄養素や、加熱調理すると損なわれてしまう栄養素などは、サプリメントを使えば手軽に補給できます。また、疲労を早く回復させたいときや筋肉を増大させたいときなどにもサプリメントは適しているため、アスリートがトレーニングや試合前後にサプリメントを摂取することもあります。

ジュニアアスリートが多くの栄養素を必要とする理由

ジュニアアスリートは、一般的な大人や成人のアスリートよりもより多くの栄養素が必要です。子どもは大人よりも日常生活において必要な最低限のエネルギーが多いうえに、成長するためのエネルギーも必要とするためです。

ジュニアアスリートになると、さらに運動する際に消費するエネルギーが加わるため、その分も摂取しなければいけません。もし、ジュニアアスリートが十分な栄養を摂取できていない状態で激しい運動を続けてしまうと、運動で消費するエネルギーが不足した場合、成長するためのエネルギーが使われてしまいます。

そうなった場合、体の成長が遅れてしまい、内臓や骨が十分に育たない、貧血気味になるなどの健康被害が出る可能性もあります。

ジュニアアスリートが不足しがちな栄養素

成長期であるうえに、スポーツをしている子どもの多くは、栄養が不足しがちと考えてしっかりと栄養管理を行うべきでしょう。

ジュニアアスリートに必要なエネルギーは以下になります。(1)

【男子の必要エネルギー量(推定)】


活動量が低い

活動量が普通

(通学や軽い運動など)

活動量が高い

(活発に運動している)

10〜11歳

1,950kcal

2,250kcal

2,500kcal

12〜14歳

2,300kcal

2,600kcal

2,900kcal

【女子の必要エネルギー量(推定)】


活動量が低い

活動量が普通

(通学や軽い運動など)

活動量が高い

(活発に運動している)

10〜11歳

1,850kcal

2,100kcal

2,350cal

12〜14歳

2,150kcal

2,400kcal

2,700kcal

次にジュニアアスリートが特に不足しがちな栄養素を見ていきましょう。

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉だけではなく臓器や髪の毛、皮膚、爪、ホルモンなどを作るためにも必要な重要な栄養素です。また、エネルギーを作り出す働きもあるため、ジュニアアスリートは、積極的に摂取すべき栄養素といえるでしょう。

たんぱく質は、小〜中学生であれば1日20g~50gほど摂取する必要があります。

ビタミン

ビタミン類は、体内でさまざまな化学反応を助ける栄養素であり、エネルギー代謝をサポートしたり体の機能を調節したりする働きがあります。ビタミンには水溶性のものと脂溶性のものがあり、水溶性ビタミンはビタミンB群(B1、B2、B6、B12)、ビタミンC、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンなど、脂溶性ビタミンは、ビタミンA、D、E、Kなどです。

ビタミンは、体内で合成できないものも多く、合成できても必要な量には満たないため、食べ物から摂取しなければいけません。ビタミン類が不足すると、エネルギー不足で疲れを感じたり、筋肉や神経、血行などに不調を感じたりします。また、特定のビタミンが不足した場合は、ビタミン欠乏症になることもあります。

カルシウム

カルシウムは、骨や歯の形成、血液の凝固、筋肉の収縮や神経の伝達などに欠かせないミネラルの一種です。カルシウムもビタミンと同様に体内で合成できないため、毎日の食事から摂取する必要があります。

鉄分

鉄分は酸素と結びつきやすく、肺から取り込む赤血球のヘモグロビンの構成成分の酸素を全身の組織に運ぶ役割があります。また、コラーゲン生成や細胞のエネルギー生成、脳の機能にも関わりがある栄養素です。

鉄分が不足すると脳への酸素が足りなくなるため、思考力や学習能力、記憶力の低下が起こります。また、疲れやすさを感じることもあります。

ジュニアアスリートにサプリメントは必要か

保護者は日々の食事が大切ということは十分に理解していると思いますが、実際は栄養バランスとカロリーを考えた食事を毎日つくるのは難しいと感じている方も少なくないでしょう。

ジュニアアスリートの保護者の多くは、子どもの栄養面に不安を感じているようです。そのため、必要な栄養素を補うためにジュニアアスリート向けのサプリメントに興味を持つ方もいます。一方で、サプリメントは便利であるけれどその内容や成分、摂取することによる子どもの身体への影響に不安を持つ方も多いです。

一般的にジュニアアスリートの場合は、むやみにサプリメントを使用しない方がよいでしょう。サプリメントによって特定の栄養素を多く摂りすぎてしまう可能性があり、過剰摂取によるトレーニングや競技への悪影響が出ることも考えられます。

まずは、競技や種目に合わせて健全な身体をつくるために、正しい食習慣を身につけることが大切です。サプリメントを使用する場合は、保護者が指導者や専門家と相談し、正しい知識を身につけたうえで適切なものを適量与えるようにしましょう。

ジュニアアスリートが必要な栄養素を摂取する方法

ジュニアアスリートが必要な栄養素を十分に摂取する方法をご紹介します。1日3食だと、摂取すべき栄養素やカロリーが多く、食の細い子どもや好き嫌いが多い子どもなどは栄養が不足してしまうこともあります。

保護者が上手に工夫して、無理なく子どもが栄養素を摂れるようにしてあげましょう。

現在の食生活を見直す

まずは今の食生活を見直して、普段の食事を改善して必要な栄養素が摂れないか検討しましょう。ジュニアアスリートは、活動量が普通の子どもと比べると250〜300kcalほど多く必要です。

エネルギー源となる炭水化物やたんぱく質は、運動前にできれば補いたいものですが、おにぎりやバナナなど手軽に食べられるものを用意しておくとよいでしょう。おにぎりは1個約170kcal、バナナは1本約90kcalあります。

たんぱく質はプロテインではなく、ゆで卵や牛乳、チーズ、魚肉ソーセージなどで補給できます。どの食品も持ち歩きしやすいものばかりなので、ぜひ取り入れてみてください。

食事回数を増やす

1日3食で十分な栄養素を摂取できない場合は、食事回数を増やしてみましょう。間食で栄養素を補うやり方は、少食の子どもにも有効です。無理に1度に多くの量を食べると消化不良を起こしてしまいます。せっかく食べた食事が、十分に体の成長に使われなくなる可能性もあるので気をつけましょう。

間食は練習前や練習後にプラスしてみてください。練習前なら糖質や水分をメインにしましょう。おにぎりやパン、フルーツや牛乳、果汁100%のジュースなどなら、持ち運びも便利です。練習の後は、糖質とたんぱく質を補給できる間食にしましょう。肉まんやツナサンド、ヨーグルトやチーズなどもおすすめです。

揚げ物が具材になっているサンドイッチ、菓子パンや甘いお菓子などは脂質が多いため避けましょう。また、夕食が食べられなくなるほど間食を用意するのはよくありません。1日の食事がしっかり食べられるよう間食の量を調整しましょう。

ジュニアアスリートがサプリメントを使う前に確認すべきこと

ジュニアアスリートがサプリメントを使う際は、以下の点をまず確認してからにしましょう。

栄養素が不足しているかチェックする

普段の食事で栄養素が不足していないかチェックしてみましょう。保護者だけでは正確な判断が難しいため、医師による診断やスポーツ栄養士による栄養評価などを利用するのがおすすめです。

食事で改善できないか検討する

欠乏や不足している栄養素があれば、普段の食事で改善できないか考えましょう。メニューを工夫したり、間食を増やすなど工夫してみてください。

アレルギーがあって食べるものが限られる子どもや、海外遠征などで食事から十分な栄養素を摂ることが難しい場合は、サプリメントを検討しましょう。

不足した栄養素を補えるサプリメントか確認する

不足している栄養素を補えるサプリメントを選びましょう。有効な科学的根拠が示されているものを探してみてください。有効かどうか不明なサプリメントは使用しない方がよいでしょう。

安心して使えるサプリメントであるか調べる

さらに安心できるサプリメントかどうかを調べましょう。ジュースタイプのサプリメントやジュニア向けのプロテインには、飲みやすくするために合成着色料や人工甘味料などの添加物が使われている場合があります。サプリメントによる副作用やほかの薬との相互作用などがないかも確認してください。

さらに、ドーピング禁止物質の記載がないかもチェックしましょう。製品パッケージにアンチドーピングと記載していても全く検査をしてないメーカーもあるので、第三者機関のマークがあるか必ず確認しましょう。

安心できるサプリメントだと思えてから、試すようにしてください。栄養素の不足や欠乏などが改善するようであれば、引き続き慎重に継続して使用してみましょう。

ジュニアアスリートがサプリメントを使う際の注意点

ジュニアアスリートがサプリメントを使うときには、以下のことに注意しましょう。

サプリメントの目的と使い方を明確にする

どのような目的でどんなサプリメントを使うのか、また、摂取するタイミングや量はどのくらいにすればいいのかを事前に確認しましょう。サプリメントは、栄養補助食品ですが、多く摂取したからといって効果が早く現れるものではありません。

過剰摂取することで健康に悪影響を及ぼす栄養素もあるため、必ず食事から摂取する量を考えてサプリメントも調整しましょう。

摂取する前に医師や薬剤師、栄養士などに相談する

サプリメントを摂取する前に、サプリメントが必要かどうか、健康面やアンチ・ドーピングなどの安全面がクリアしているものであるかを必ずスポーツドクターやスポーツ薬剤師、スポーツ栄養士などに相談しましょう。

健康のリスクがあることを理解する

サプリメントには健康のリスクがあることを理解しましょう。サプリメントの摂りすぎだけではなく、人から良いと勧められたサプリメントを安易に使用するべきではありません。

たとえば、日本製のサプリメントでも原材料が海外のものを使用している場合、ドーピング禁止物質が使われている可能性もあります。サプリメントによるアンチ・ドーピング規則違反は、すべて自己責任です。ジュニアアスリートの場合は、保護者がしっかり管理しましょう。

ジュニアアスリートの栄養はまず食事から|サプリメントは質の良いものを

ジュニアアスリートは、成長期でもありスポーツをして消費カロリーが多くなることから、栄養不足に陥りやすい傾向にあります。なるべく普段の食事を工夫して、必要な栄養素が摂取できるよう保護者が管理しましょう。

運動前や運動後の間食を増やすのはおすすめです。どうしてもサプリメントを使う必要がある場合、事前に専門家に相談し、安心できるサプリメントを選びましょう。摂取する量は、食事から摂る量を考えて調整してください。

健康のリスクがあることは理解したうえで、信頼できるサプリメントを選ぶことが大切です。


PPNのサプリメント管理体制について
certification

サプリメント摂取によるアンチドーピング規則違反からアスリートを守る唯一の方法、それは、全製品の、全ロットを、市場に流通させる前に検査を実施することです。

市場に流通させながら全ロット検査を実施しているメーカーはいくつかありますが、アスリートのドーピング陽性リスクを極力排除するためには、全ロット検査でも十分ではないと考えています。

そのため、PPNでは全製品・全ロットに対して、市場に流通させる前に検査を実施するだけでなく、「結果を確認するまで出荷しない」という管理体制を取っています。

この体制を取っているメーカーは世界で唯一弊社しかありません。アスリートにとって栄養摂取は投資であり、ドーピング検査の徹底は保険です。PPNでは「体感」と「安全性」を実現できる製品開発に尽力しています。

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講師は2011年〜2023年の間、全日本選手権パワーリフティング105kg級(フルギアカテゴリー)で12連覇を達成したPPN代表 阿久津貴史(2004年〜NSCAストレングス&コンディショニングスペシャリスト)です。現在は東京都立大学 大学院 人間健康科学研究科 知覚運動制御研究室に所属して、パワーリフティング種目の運動制御に関する研究をしています。

メッセージ: 「これまで幾度となく試練を乗り越えて来たからこそお伝えできる内容も配信しております。全部で60回以上配信されますので、何かしら活かせることがあるかと思います。現在は無料で配信しておりますので、ぜひこの機会をご活用ください。」

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